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iPodとWALKMANから見えてくる新製品開発の理想像

 お気に入りの曲をイヤホンで聞きながら電車で通勤-。そんな姿も今では当たり前のように見かけます。みなさんの中にも携帯音楽プレーヤーを持ち歩いている方は多いのではないでしょうか。

 現在携帯音楽プレーヤー市場の中で最も人気があるのは、アップル社のiPodです。世界中で支持されており、日本でも約5割のシェアを占めているそうです。また、最近ではソニーのWALKMANも人気が高く、国内では約3割のシェアを占めているそうです。携帯音楽プレーヤーを製造しているメーカーは他にも多数ありますが、国内の携帯音楽プレーヤー市場はこの2社がほぼ寡占している状態です。

 iPodの特長は、直感的な操作が可能なユーザーインタフェースと斬新でシンプルなデザインでしょう。説明書がなくても簡単に操作でき、誰にでも受け入れられるシンプルなデザインの裏には、様々な言語や習慣を持つ人々が集まるアメリカならではの設計思想が感じられます。一方、WALKMANの特長は、音質に対する強いこだわりと長い歴史の中で培われた高い技術です。一時期、iPodの人気に押され停滞した時期もありましたが、最近では高い技術力を活かしたノイズキャンセリング機能やワンセグ放送受信機能を盛り込むなど、自社の強みを活かして人気を取り戻しつつあります。製品コンセプトや設計思想こそ異なりますが、両社とも自社の強みを活かした製品コンセプトを徹底することにより、多くのユーザーに受け入れられる新製品の開発に成功しています。

 このような新製品の開発を実現するためには、市場や競合他社の動向をしっかりと把握したうえで自社の強みを活かせる製品コンセプトを設定する必要があります。その上で設計者に求められることは、その製品コンセプトを実現する最善の設計案を見出し、それを実現していくことです。

 それでは、どうすればiPodやWALKMANのように魅力的な新製品の開発が可能になるのでしょうか?そのためには製品企画段階において、以下のステップで設計案を導くのがよいと考えます。

1.製品コンセプトの理解共有
新製品のコンセプトを関係者にしっかりと理解してもらい、意志決定する際の判断基準を共有する。

2.アイデアの洗い出し
関係者全員の知識を総動員し、製品設計に関するアイデアをブレーンストーミング式で洗い出す。

3.設計案の創出
洗い出したアイデアを整理・分類し、それらのアイデアを組み合わせて一つの製品としての設計案を作り上げる。

 以上のことは当たり前のようですが、いざ実行しようとするとなかなか難しいものです。たとえば、我々コンサルタントが設計開発の現場で遭遇する典型的な例として、設計者が製品コンセプトをよく理解せず、どのような方針で設計すればよいか分からない、といったケースがよくあります。また、ソフトウェアを考慮せずハードウェア主導で設計案が決められ、製品として最適な設計ができなかった、という声もよく耳にします。このような開発の進め方では、製品コンセプトを実現する画期的な製品が生まれないばかりか、製品としての一貫性も崩れかねません。

 そこで、私がこれまでの経験で得た、新製品開発を成功に導く設計案ブレーンストーミングのコツをご紹介します。

◆製品開発に関わる全ての部門の責任者や技術の有識者など、全てのキーマンを一堂に集める。
◆あらゆる技術分野に精通し、議論を活発化させ整理できる人をファシリテータに立てる。
◆アイデアを考える際は、設計案を限定せずにゼロベースで考える。
◆自分のアイデアを説明する際は、ポンチ絵などを使って分かり易く説明する。
◆他の人のアイデアを理解しようと努力する。

以上のことに注意してブレーンストーミングをおこなえば、きっと製品コンセプトを実現する最善の手段が見出せるでしょう。みなさんも試してみてはいかがでしょうか。

執筆:竹森 恵一
※コラムは執筆者の個人的見解であり、iTiDコンサルティングの公式見解を示すものではありません。

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