多事想論articles

できるPDCAのための処方箋

 PDCAとは、Plan-Do-Check-Actの略である。提唱されたのが1950年代で、ISO9000等に考え方が取り入れられているということからもご存じの方も多いと思う。PDCAは仕事や改善を行うための基本のサイクルで、日本語でいえば、「計画」→「実行」→「結果を評価」→「次の活動のために改善」を繰り返すことである。これは人や組織がより早く、よりよく成長する上で必要なサイクルであろう。特にCheck-Actの部分は、「結果から学び次に活かす」というこのサイクルの胆の部分だ。

 いろいろな仕事でこのPDCAが取り入れられているが、プロジェクトにおけるPDCAを考えてみると、日程や体制表といったプロジェクトの活動計画がPlanに該当し、計画に従って活動していることがDoであり、プロジェクト終結時の反省会や振返り会がCheckに相当し、次のプロジェクトが成功するように対策を検討し次ではXXする(しない)と決めることがActということになるだろう。

■PDCAの活用実態
 この基本的なPDCAサイクルは実際の現場で実施されているのだろうか。意外と思われるかもしれないが開発現場を見てきた経験からいうと、DoだけやPlanとDoのプロジェクトが多いように思う。なぜCheckやActが実施されていないのか、主な理由は開発したものをリリースしてしまえばすぐ次の開発に入ってしまい実施する暇がないというものである。他にも理由はあるが、結果的に実施する習慣はなく、個人には経験とノウハウが残りPDCAは少なからず回っているが、組織としてはPDCAが回っておらず同じ失敗を他のプロジェクトでも繰り返してしまっている。

 また、このようにCheck-Actをやっていない、またはCheck-Actの経験が少ない現場では、たまに実施しても意義のある結果を得られていないことが多い。たとえば、納期遅延の原因はリソースが足らなかったこと。対策として計画時に必要なリソースを計画する。要件変更多発の原因は仕様が不明確だったこと。対策として仕様が明確になるまで開発を中止するなどはよくある例だ。これらはそのような状況に至った真の原因を捉えて立案した現実的な対策なのだろうか。ほとんど実施不可能な対策をあげても、うまくいくとは思えない。これではせっかくCheck-Actの活動をしたとしても、期待した成果は得られず、実施してもしなくても変わらないという失望感しか残らない。また、組織によってはCheckがつるしあげの場となっている場合もある。そのような場合、以降からは自発的なCheck-Actは二度と行われないかもしれない。要はCheck-Actが人も組織も下手なのだ。

■PDCAが実施できるようになるには
 ではCheck-Actができるようになるにはどうすればよいか。1つの答えはCheck-Actの質をあげ、かつ量を増やすことだ。
 まず質の向上として、下手な人や組織がてっとり早くうまくなるには、できる人にガイドをしてもらうことだ。そして量を増やす手段としては、当たり前だが機会を作ることだ。これには経営層がCheck-Actの実施を支援することが欠かせない。プロジェクトを成功に導くための活動だからつるしあげず奨励することが肝心だ。合わせて、現場も意識して機会をとらえ実施するように心がける必要がある。それでもなかなか機会が増やせないならば、PDCAの順番を変えCAPDを実施してはどうか。条件が整わないこともあるが、参加メンバーや過去のプロジェクトメンバーから情報を集め対策を検討しプロジェクトの活動計画に反映するのである。参加メンバーはプロジェクト開始前に必ず振返ることができるし、これから始めるプロジェクトに積極的に改善施策を織り込むことができる。また、プロマネにとっても過去の失敗を繰り返さないという期待から実施する動機になるはずである。

■良いパートナーと一緒にハードルを越える
 さて、上記に「できる人にガイドしてもらう」と記述したが、これは単にやり方の知識をもった人を指しているわけではない。知識はもちろん必要だが、もうひとつCheck-Actができるようになる上で大事なことだと思われることがある。それは、人は頭で理解していても行動しないことがある、という点だ。たとえば、私自身を振り返ってみると、メタボ対策の軽い運動を何かと言い訳をしてやっていなかった。読者も、身体に悪いからやめると言いながら煙草をやめていない。二日酔いで苦しんだ挙句もう飲まないと宣言したのに、翌日には飲酒していた。など心当たりがあるだろう。何かと理由をつけて後回しにしてしまうのだから、困ったものだ。しかし、このような状態を改善できないわけではない。私自身、奥さんが一緒に運動しようと後押ししてくれるようになってから、近所の散歩から始まり、徐々に遠出をするようになってきた。医者がパートナーになって禁煙を補助するサービスもあるようだ。開発現場においては、第三者的に活動を支援できる専門スタッフや専門コンサルタントと一緒に改革を進めることであろう。このように知識だけではなく、最初は誰かの支援を受けながら、低いハードルから徐々に高いハードルへ段階を踏んで無理なく改善を進めていくことが必要なのである。

■最後に
 だれでも経験を積んだ分だけ、それに見合った成長をしていたいものだ。PDCAは個人でも組織でも描いたTO BE(あるべき姿)に向かって成長する上で必要な活動である。 もし、PDCAは知っているがうまくいかない、やり方が下手だと思ったら、良いパートナーを見つけ、パートナーとともに低いハードルから始めて徐々に高みを目指すことをお勧めする。後はあなたや組織長のやる気次第。
 開発力の向上ならiTiDを良いパートナーとしてお勧めします。お大事に。

執筆:高野 昌也
※コラムは執筆者の個人的見解であり、iTiDコンサルティングの公式見解を示すものではありません。

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