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定着のための推進部隊

業務改革-いつの時代も業種に関わらずこの必要性を感じられる方は多いのではないでしょうか?製造業においては製品企画力の強化、製品の品質向上、コスト削減、生産性の向上等、目的は様々であり、業務改革の手段も様々に取られていることと思います。その中でも、業務プロセスの再構築は業務改革の手段の一つとしてどの業種や目的においても有効なものです。

皆さんの会社でも今までに業務プロセスの再構築に取り組まれたというご記憶はないでしょうか?社内の人員だけで実施したり外部の支援を得たりと取り組み方は様々だと思いますが、「そう言えば以前やっていたような・・・」と思い当たることがあれば、再構築された仕組みは今も継続して活用されているかを考えてみてください。案外、時間とお金をかけた割には以前と何も変わっていないということがあるのではないでしょうか?

実はプロセスの再構築そのものよりも、その後の定着の方が困難なのです。今まで慣れ親しんできたやり方を変えるのは大変だからです。「変化」をすんなりと受け入れられず、抵抗する人もいるでしょう。なんとなく業務をこなしていて新しい仕組みにそろそろ慣れてきた、と感じてきたが実は今までのやり方に戻っていただけ・・・といったこともあり得る話です。

定着が難しい原因の一つとして、改革の計画立案から業務プロセスの再構築までが活動の本質だと見誤り、再構築後の業務プロセスの遵守徹底やメンテナンスといったところまで十分に意識されていないことが挙げられます。又は分かってはいてもそのやり方までは具体的に検討されていないといったこともあるでしょう。

では定着のコツはあるのでしょうか?
有効策の一つとして、定着のための推進部隊を設けることが挙げられます。もちろん、業務プロセス再構築のための改革推進チームが既に設けられていれば、そのチームのミッションに含めても問題ありません。

この定着推進部隊の活動内容として、以下に主なものを列挙します。

(1)新プロセスの周知徹底
(2)新プロセスの遵守徹底、実施レベルの確認
(3)新プロセスに対する修正要望の取りまとめ、修正、更新
(4)付随するドキュメントの改訂と整備の推進
(5)改革活動の効果測定及び成果のアピール活動

これらの遂行により確実に「定着」を推し進めることができるでしょう。 特に重要なのは(3)です。再構築した業務プロセスが必ずしも完璧ではありませんので、試行をして修正をする必要もありますし、業務環境の変化に応じて見直すといったメンテナンスが必要です。

定着推進部隊のメンバーを選出する際に考慮すべき点としては、以下が考えられます。

(1)開発・設計の豊富な経験
(2)危機意識
(3)周囲からの信頼
(4)技術的、政治的な問題解決の能力

過去または現役の一流エンジニアであり、「この人の言うことなら聞いてみよう、やってみよう」と周囲に思わせるような知識、経験、人格を持った人達が理想です。

このような推進部隊を作ろうと思ったことはあるがなかなかできない、という方もおられるでしょう。「ただでさえ人が足りない」や、「上記のような人物は改革活動に参加させるのではなく製品開発の第一線に投入したい」という思いは理解できます。しかし、業務改革は今後の製品開発の全てに影響を及ぼすため、担当期間を明確にしてメンバーを定期的に入れ替えるなどの工夫により対応すべきと考えます。定着推進部隊を作らない言い訳を考えるのではなく、定着までをやり抜くという強い意志をもって改革活動に取り組むべきです。

推進部隊の仕組みは人材育成の面においても非常に有効です。メンバーは将来の貴重な人材になることは間違いありません。なぜなら、製品開発に必要なメカ・エレキ・ソフトといった主要要素を横断した業務の流れに精通できるからです。業務を通じて幅広い知識を得るだけでなく部門間のひずみや悩み等も理解でき、物事を見る視野が広がり、製品開発の全体が俯瞰できる人材に育つことでしょう。

改革は仕組みを作って終わりではなく、そこからがスタートであるという覚悟が必要です。せっかく投資(人的資源、時間、お金)をした改革です。投資を回収する為にも、「結局何も変わらなかった」とならないようにしなければなりません。iTiDは新たな仕組みを社内文化として根付かせるために、豊富な実績を活かしてご支援させて頂いております。

執筆:西村 崇
※コラムは執筆者の個人的見解であり、iTiDコンサルティングの公式見解を示すものではありません。

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