多事想論articles

"大きな力"の正体

 「早朝から変な声を出したり、ドスドスしたり、やめてよ」家内がそう言ってきたのは7月18日の早朝を指してのこと。なでしこジャパンがW杯を掲げるその瞬間に至るまでの奇跡に、我が家で一人、感動の嵐に巻き込まれていたのです。ツイッターのタイムラインには、あの時間帯では考えられない量のツイートが寄せられていました。図は試合当日の1秒当たりのツイート数です。3:45のキックオフから優勝が決定する6:20まで、日本国内(1秒あたり300~1700ツイート)だけでなく世界中(1秒あたり2700~5200ツイート)が盛り上がりを見せていました。

/articles/column/images/20110726.png

図 1秒当たりツイート数(5分平均)~http://hide.dnsalias.net/tweetcounter/より引用~

 それらツイートの多くに書かれていた「奇跡」に関連して、対戦相手のゴールキーパーであるソロ選手は「何か"大きな力"が日本に味方していた」とコメントしています。きっとピッチ上の選手はこのような力を感じていたのではないでしょうか。特に私が感じたのは次の場面です。(1)序盤の厳しい劣勢が続く中で流れが変わりそうな気配があったこと。(2)先制点を取られた後にも延長戦でリードを許した時にもチームが何かやりそうな雰囲気を醸し出していたこと。(3)PK戦直前の円陣で笑みにあふれた和やかな状態だったこと。観戦していた皆さんも何か"大きな力"を感じたのではないでしょうか。この力の正体は何でしょう。

 "大きな力"とは、なでしこジャパンが高めてきた「心技体」と周囲からの刺激です。

 一般的に、スポーツで成果を生むには個人であれチームであれ「心技体」を高めることが必要です。なでしこジャパンは北京五輪での敗戦をきっかけに、「常に状況を見ながら、考えながら、動きながら、数的優位を作りながらプレーするサッカー」を目指して「技」と「体」を高めてきました。加えて、チームとしての「心」を向上させるために、思想・価値観の徹底的な共有にも取り組んできました。試合直後の「心が折れそうになった瞬間? そんなの全然なかった」(佐々木監督)、「今日の決勝戦は優勝するシーンしか想像できなかった」(澤選手)、「今日の決勝は戦っている間、一度も負ける気がしなかった。チーム全体もそういう雰囲気だった」(永里選手)といったコメントから、監督・選手の「心」のベクトルが最大化していたことが分かります。

 更に、日本国民だけでなく、震災の被害を受けた日本に対する世界の応援も格別でした。世界中がなでしこジャパンの戦いを見守り、健闘を支援していました。冒頭に示した世界から寄せられた大量のツイートもその証拠です。実際に、優勝決定直後に開催地ドイツから祝福のメールをもらった同僚もいました。なでしこたちが被災地や被災者を勇気づけようといつも以上の力を発揮していたことは想像に難くありません。

 チームとしての心技体を鍛錬し続け、極める。周囲がチームを後押しする刺激を与え、驚異的な結果を生む。あの早朝に見た奇跡は必然の結果なのです。

 なでしこジャパン、W杯優勝おめでとう!

執筆:菅 仁
※コラムは執筆者の個人的見解であり、iTiDコンサルティングの公式見解を示すものではありません。

資料ダウンロードはこちら