多事想論articles

論理的対応と感情的対応の使い分け

 心理学者のアドラーが「人の悩みの全ては人間関係である」と言うように、人への対応は人生のいかなる時も付いて回る大きなテーマである。
 私たち社会人にとっては、仕事の場面での論理的対応が必要不可欠である。"背景・目的から入り、仕事の実施内容・結果をストーリーに沿って人に説明する"、"起きている結果・事象に対してロジカルに原因を究明し、複数の対策案から次の一手を考える"等はその一例である。しかし、この論理的対応だけで、人としてのこだわり、好き嫌い、損得等が複雑に行き来する仕事が果たしてうまく回るだろうか。

 一旦プライベートの場面を想像し考えてみたい。例えば、自分と女性(妻等)とのシーンにおいて、自分は何も間違っていない、又は何も悪くないと思っているのに、何故か相手の機嫌が悪くなっている、又は怒られているといった経験は、皆さんないだろうか。私の場合、このような場面では論理的に話しても収束しないと考え、最後は素直に謝る、同意する等の感情的対応でその場を収めようと努める。勿論、このやり方はそれぞれの積み重ねてきた関係性が影響する為、正解はない。論理的対応で十分に話し合い、解決する人がいたとしても、それはそれで良いと思うが、感情的対応の必要性も少なからず理解頂けるのではないだろうか。

 同様に、必ずしも論理だけでは通じないという場面が、仕事でも多くあると思う。例えば、自分では相手の立場や状況を踏まえ、ロジカルにストーリーに沿って纏め、説明しているのに、相手と合意出来ない、納得されない等である。仕事は、様々な個性を持った社内外の関係者が共存する中、本来は論理という橋を通して合意形成しながら進めていくものだと思うが、関わっているのが人vs人である以上、論理抜きで人の感情に訴える攻め方、対応の仕方も時には必要になる。
 "相手を尊重しながら低姿勢で言いたい事・お願いしたい事を伝える対応"、"自分が持っていきたいゴールをひた隠ししながら、相手に会話を合わせ、適切なタイミングでそれを表に出す対応"、"自分の強い想いやこだわりの発信"等は、その一例だと思う。又、それに加えて事前のネゴシエーションや、日頃の対話の際の相手への気遣いを積み重ねておく事で、本番での合意形成により近付けると考えている。勿論、人vs人との関わり合いの為、持って生まれた性格や人相等も影響している点は否定出来ない。但し、自身の感情的対応の工夫により、仕事をよりうまく回す事が可能だと私は思っている。 

 このように、仕事では論理的対応が必要不可欠な上に、更に感情的対応も加え、使い分ける事が必要だと思っている。上記は、私が意識している視点ややり方の一例であり、人によってそれぞれその個性を活かした視点・やり方があると思う。
是非、自身の個性を活かした使い分けを実践して頂きたい。

執筆:寺島 克也
※コラムは執筆者の個人的見解であり、iTiDコンサルティングの公式見解を示すものではありません。

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