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つないで価値を生む

 いよいよ上野東京ラインが3月14日に開業します。これまで宇都宮線・高崎線から東海道線に乗り継ぐには、上野駅で山手線(または京浜東北線)に乗り換え、さらに東京駅で東海道線に乗り換える必要がありました。上野東京ラインの誕生により、上野以北と東京以南を乗り換えなく行き来できるようになります。鉄道ファンでなくとも、利便性向上を期待して待ち遠しく思っている方は多いのではないのでしょうか。

 実際、上野東京ラインの開通により、品川から上野以北へ向かうときの所要時間は10分程度短縮されるそうです。また、併走する山手線の混雑率が最大200%から180%以下に緩和されるとの試算もあります。さらに、東京駅が終着駅でなくなることから田町にある車両基地が縮小され、新たに13haの土地が生まれます。ここに大規模な国際街区が開発されることは、すでに報道されているとおりです。

 このように、分断されているものをつなげて価値を生むということは、製品開発の現場でも見られます。たとえば製品開発プロセスです。企画、設計、生産といった各部門のプロセスは整理されていたとしても、部門間にまたがる部分で混乱していることがあります。これらのプロセスを連携させることで、業務の効率化が図られます。また、技術継承でも同じことが言えます。かつて先輩から後輩に受け継がれてきたノウハウが、今の若手に継承されていないという懸念をよく耳にします。こちらも、途切れることなく技術知見を継承することで、組織の技術力を高めることができるようになります。

 さて、これらのことがさも簡単にできるかのように書いてしまいましたが、分断されているものをつなぐのはそんなに生やさしいことではありません。上野東京ラインにしても、東北新幹線の高架橋のさらに上に線路を敷設するという、前例のない難工事が必要でした。それでは、プロセスや技術継承が分断されていた場合、どのようにつなげたら良いのでしょうか?難工事を乗り越え開業目前に迫る上野東京ラインから、ヒントを3つ探ってみたいと思います。

1.今あるものを活用する。
 上野東京ラインは、すでにある東北新幹線の敷地を有効に活用しました。これを上野・東京間の土地買収から始めていたのでは、開業は難しかったことでしょう。プロセスで言えば、企画と設計をつなぐために新たな会議を設けるのではなく、すでにある会議や帳票を生かすほうが、早く改善できるはずです。

2.必要なものには投資する。
 当然、かけるところにはお金をかけなければ計画は実現しません。高架橋の上に線路を敷設する工事では、特別なクレーンなどの必要な道具(手法)も取り入れていたそうです。製品開発においては、たとえば弊社のようなコンサルティング会社が持つ手法や事例を生かすことで、より早く、より大きな成果を得ることができることでしょう。

3.波及効果を具体的に描く。
 上野東京ラインには、宇都宮線・高崎線と東海道線を乗り換えなしで行き来できるメリットだけではなく、併走する山手線の混雑緩和や、過密状態の都心に新たな開発区域を生み出すような波及効果もありました。改革活動を進めるときにも「期間短縮」や「工数削減」という目標を掲げるだけでなく、それによって実現したいビジョン(ありたい姿)も描くことで、より高いモチベーションをもって取り組めるようになるでしょう。

 新しく敷かれたレールの上にはどのような景色が待っているのでしょうか。今から楽しみですね。

執筆:水上 博之
※コラムは執筆者の個人的見解であり、iTiDコンサルティングの公式見解を示すものではありません。

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