多事想論articles

今すぐできる自己実現への布石

 新年度を迎え、配属や役職が変わり、気持ちも新たにされている方も多いことと思います。新入社員はまさにフレッシュそのものです。みなさんはいま、新入社員の頃抱いていたなりたい姿になれていますか?

 改めて言うまでもありませんが、「なりたい姿」を手に入れるためには、目標設定が欠かせません。この目標の立て方次第で、最後までやりきって自己実現できるか、結局やらなくなってしまうかが変わってきます。目標のどこに違いがあるのか、私なりに考えてみました。

 5年前、私が新入社員研修を受けたときのことです。「PDCA」「ロジカルシンキング」「積極性」など、仕事の基礎となる考え方や姿勢を学ぶ集合研修を受け、それぞれが配属先で力を発揮していこうというムードが醸成され、最後に今後の目標を発表することになりました。「PDCAをしっかり回していきたい」「積極的に動いていこうと思った」といった"到達基準がわからない目標"が多く発表され、私は「どうやって目標達成したと判断するのかな?」と疑問に思いました。私の懸念は的中し、1か月もしないうちに「研修?あぁ、みんなで飲んだ日ね」と立てた目標は記憶の彼方に忘れ去られてしまいました。このような経験はだれでも一度や二度身に覚えがあると思います。

 研修で立てた目標はどこに問題があったのでしょうか。結局やらなくなってしまう目標とは、何を基準に成果を判断するかが明確ではない目標と私は考えています。先ほどの研修の事例でいえば、"PDCA"も"積極性"も、何を基準に達成出来たか判断に困る目標です。もしも自己実現に繋がる目標を立てるのであれば、「PDCAを身につけて自律的に行動できるようになるために、月曜日に計画を書き出し金曜日に進捗を確認する」「論理思考を身につけて課題を自力で解決できるようになるために、資料作成前ロジックツリーを書いて主旨を整理する」のように、到達基準を明確に定義するべきです。明確な到達基準があると、適切なアクションをとれているか否か正しく判断できます。さらに、実施内容のレベルアップや計画の見直しも到達基準と照らし合わせて行うことができます。このような目標は最後まで達成できるものです。

 自己実現に向けた目標が定まれば、あとは継続あるのみです。私のオススメする継続を助ける方法を1つ紹介します。それは、「周囲に宣言する」ことです。周囲を巻き込み応援してもらうことで、辛く諦めそうになってしまったときの支えとなり、最後までやりきることができるでしょう。また、周囲に宣言することで、仲間やライバルが現れる確率も高くなります。似た目標を掲げている人が近くにいると、お互いに刺激となって継続の助けとなるでしょう。周囲からの支え・刺激もうまく活用して自己実現につなげていきましょう。

 ちなみに、私が研修時掲げた目標は、「積極性を鍛えて自発的に行動するために、昼食は自席でとらずに食堂に行く」でした。同期も覚えてくれていたため、食堂で会うと「実行しているね!」と褒められ、これは継続せねばと燃えました。加えて、コミュニケーションを持つ機会も増え、いろいろな企画に参加するなど積極性を持って行動できるようになりました。到達基準が明確な目標を持つ→成果が見える→継続できる→目標達成というプロセスを経て、積極性を鍛えるという自己実現に繋がっていきました。小さなことでもコツコツと積み重ねていくことで、なりたい自分に近づけると思います。

 みなさんも到達基準が明確な目標を立て、自己実現につなげていきましょう!

執筆:宮本 佐和子
※コラムは執筆者の個人的見解であり、ITIDの公式見解を示すものではありません。

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