多事想論articles

成長を促進させるポイント

 これまで上手くこなせなかった仕事や、自分にとって難しい仕事に取り組んで良い結果を得た際、多くの方が成長を感じるでしょう。しかしながら様々な仕事、事柄に取り組んでいるにも拘らず、なかなか成長を感じられない場合もあると思います。その場合、どのようにすれば良いのでしょうか。

 筆者は「成長のベクトル」を意識して、目標を適切に設定することが一つの解になると考えています。ベクトルとは、数学において「向きと大きさをもつ量」と定義されます。本コラムでは「成長のベクトル」を成長の向き:「取り組む業務領域や内容」、成長の大きさ:「現状と成長後の到達点とのギャップの程度」で構成されるものと定義します。それぞれの観点からベクトルを意識して、成長を感じるための目標を適切に設定するために、筆者の経験も交えながらポイントを述べていきます。成長を考える対象範囲は人によって異なりますが、本コラムでは会社の業務を例に考えます。

1.成長の大きさを適切に目標設定するポイント:絶妙に背伸びした到達点を設定すること

 前段では向き、大きさという流れで説明しましたが、わかりやすさの観点より、成長の大きさから説明します。成長の大きさを伸ばすための目標設定のポイントは、絶妙に背伸びした到達点を設定することです。

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 絶妙に背伸びした到達点を挙げる理由は、現状の延長線上であるため取り組み方が明確で、継続して努力しやすい上、目標達成時に以前の自分からの成長を感じやすいためです。一方、成長するためには、とにかく高い到達点を設定すべきという声も挙がるかと思います。そのような考えに対して、筆者は否定しませんが、高すぎる到達点は実現可能性が低く、モチベーションが上がりにくいため、努力が続かず成長につながらないことがあります。よって、筆者は絶妙に背伸びした到達点を推奨します。
 ここで筆者の経験を具体例として紹介します。筆者は新卒でグローバル企業に入社したこともあり、入社した翌年には早速、外国人と業務を進める機会がありました。しかし、学生時代に留学経験もなく、外国人との業務に苦労しておりました。英語力向上が急務であったため、英会話学校に通うようになりました。ここで、英会話学校の教師から目標設定に関してアドバイスをいただき、普通に取り組んでいるだけでは達成が難しいが、努力により達成可能と思える目標を設定しました。具体的には、一般公開テストで半年後に点数を20%向上させることや、週単位で決めた数の英単語を暗記することを到達点に設定しました。これは、当時の私にとって絶妙な目標設定でした。なぜならば、会社の業務外の時間をうまく使うことで、なんとか達成できるものだったためです。このような目標で取り組んだ結果、点数の20%向上を達成し、外国人との業務を円滑に進められるようになりました。
 このように絶妙な到達点を設定することで、目標達成に向けた努力を続けられた結果、成長を感じることができたのです。

2.成長の向きを適切に設定するポイント:組織目標を俯瞰して成長の向きを設定すること

 次に、成長の向き:「取り組む業務領域や内容」について説明します。ポイントは、ご自身が所属する組織目標を俯瞰して考えることです。

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 組織目標の俯瞰を挙げる理由は、組織目標を意識して成長の向きを考えることで、自分では見えていなかった向きに気づくことがあるからです。多くの企業は中期経営計画から各部署、グループに目標が割り付けられ、自分から希望を出さなくとも個人のタスクは決まります。しかし、環境が変化すれば組織の役割も変わり、新たな向きのタスクが生じます。また、所属する上位組織(事業部レベルなど)の視座で考えればタスクは直属の部署よりも幅広く存在しています。つまり、改めて組織目標を意識すると、当初とは異なる新たな向きに気づくことが多いため、組織目標を俯瞰して、成長の向きについて考えることを推奨します。
 ここで筆者の経験を具体例として紹介します。筆者がコンサルタントとしてキャリアを積んでいきたいと考え始めた際、これまで知見があった自動車業界に特化していこうと考えておりました。入社後、先輩や上司から各コンサルティング事例や弊社のビジョンを改めて共有してもらったところ、弊社の支援する業界は年々、広がっており、モノづくりだけでなく、コトづくりにも支援領域が広がっていることを知りました。そして、筆者は知見があった自動車業界だけでなく、他業界でも支援領域を広く対応できるようになりたいと考えるようになりました。最初に自動車業界のコンサルティングで実績を積み上げた後、思い切って他業界へのアサインを希望しました。知見が少なかった他業界でもコンサルティング実績を積み上げ、様々な業界を支援していく自信をつけることができました。また、他業界まで知見を広げた結果、現在は自動車業界だけでなく、他業界でのプロジェクトでも実行責任者にアサインされるまでになりました。
 このように組織目標を俯瞰してみることで、新たな向きに気づくことができるようになり、自身の成長に繋げることができたのです。

3.成長の向きと大きさを適切に目標設定するポイント:第三者視点で妥当性を確認すること

 最後に成長の向き、大きさの両方において大切なことを述べます。ポイントは第三者の視点を入れて妥当性を確認することです。

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 第三者視点を入れることを挙げる理由は、自分だけでは気づけない新たな気づきと適切な到達点を確認できるためです。当然、自身で主体的に目標設定することは、成長する上で必須です。しかし、個人だけで考えていると、俯瞰しているつもりでも時として、偏りが出ることがあります。その場合、自身より視野が広い方や経験がある上司や先輩に相談すると、俯瞰して適切な到達点を見出せる場合があります。そのためにも上司との定期的な面談や、先輩との日々の会話の機会を大切にしておくべきです。
 例えば、筆者の社外の友人は元々、学生時代に取り組んでいた技術分野に、社会人になってからも先行開発の担当として従事していました。当初は先行開発を続けていくつもりでしたが、時が経つにつれて、漠然と製品に近い業務を希望するようになりました。製品設計から製品リリースまでを経験したいと考え、プロジェクト開発への異動を希望しました。面談で上司に想いを伝え、そこで製品に近いとは何かについて議論したことをきっかけに、自分がやりたかったことに気づくことができたそうです。それは、製品に対して市場の厳しい環境下や、想定を超える製品の使われ方を考え抜き、検証して製品を市場に送り出したいということでした。その上司のアドバイスによると、これを実現できるのはプロジェクト開発ではなく、実験部でした。そして、希望が通り実験部に異動した結果、製品全体のことや上位の要求をこれまで以上に考えられるようになり、視野が広がり、大きく成長することができたと聞きました。
 このように第三者視点を入れることにより、到達点の妥当性確認、修正を行うことができると考えます。適切なアドバイスを受けられそうであれば、第三者視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。

■最後に

 筆者自身、今後も「成長のベクトル」を意識した目標設定を行い、更に成長していきたいと思います。また、弊社では人材育成に関しても支援しております。本コラムでも触れた「技術者の適切な目標設定」に関してもコンサルティング実績がありますので、お困りの際には是非お問い合わせください。 

執筆:南 貴紘
※コラムは執筆者の個人的見解であり、iTiDコンサルティングの公式見解を示すものではありません。

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