多事想論articles

目標達成に向けた思考プロセス

 投手と打者の二刀流で活躍を続けている大谷翔平選手が、メジャーでも大活躍を続け、新人賞を受賞した。誰も通っていない道を進み、成果を出し続けることができるのはなぜなのだろうか。
 ひとつの要因として、大谷選手が高校時代に使用していた目標達成シートがあるのかもしれないと私は考えている。下の写真が、目標達成シート(マンダラチャート)である。

■大谷選手が高校時代に使用していた目標達成シート(マンダラチャート)

181213_01.png

画像の引用元(スポニチ;https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2013/02/02/gazo/G20130202005109500.html)

 この表の一番の特徴は「ロジックツリー(上位概念を下位概念に分解していく際に用いられる思考ツール、下図が主に用いられるロジックツリーの絵)で表現する上位概念を中心においてそこから放射状に下位概念を配置する表現を繰り返した図になっている」ということだ。ツリー図を一枚の紙にまとめることができ、視認性が向上しているのである。

■マンダラチャートをロジックツリー形式に置き換えた場合の図

181213_02.png

次のマンダラチャートのすごいところは、様々な思考プロセスの組み合わせを実にシンプルに表現していることである。

 マンダラチャートは、中心に最終目標を立て、目標達成のために必要な項目を8つに分解しているのだが、そのためには現状とあるべき姿(目標・理想)を想定する必要がある。また、その8つに分解された項目は「目標達成に必要な能力」と解釈することができ、さらに外側で詳細に分解している項目は、「目標達成に必要な能力」を伸ばすための「実現手段」であると言える。分解された項目を以上のように解釈すると、マンダラチャートは仮説として立てた実現手段が適切であるか、実際の行動をもって検証が可能となり、実現手段を見直すことができる。例えば、軸で回っても、球速が速くならなかった場合、「軸で回る」という実現手段は能力を伸ばす手段として適切でないと判断でき、「軸で速く回る」など実現手段を具体的にしたり、「体の軸をまっすぐにする」など手段を見直したりできるといった形である。下図参照
 さらに、体重の増加や下肢の強化(スクワットの重量増加)などと球速の相関性を算出することができれば、定量的な分析が可能となる。

■マンダラチャートに使われている思考プロセス

181213_03.png

 これらの思考プロセスはギャップ分析(現在から目標達成に対する差異分析)と、ロジックツリーによる実現手段の明確化と、仮説検証(実現手段の効果確認)を組み合わせたもので、マンダラチャートを使うことによって目標達成(課題解決)の基本プロセスをたどっているのである。また、「目標」「能力」「実現手段」を他の言葉に変えることによって、さまざまなシーンで活用できるツールなのである。

 加えて、目標達成において実現手段を見直し続けることは重要だが、「目標」「能力」においても同様に見直すことが重要である。例えば、「8球団からドラフト1位に指名される」は、他の人との相対評価となってしまうため、「目標達成のために必要な能力」である球速160km/hを達成したとしても、170km/hで投げる人が出れば自分が1位に指名されないかもしれないからだ。
 ここで上位概念を8項目しか分解できないフォーマットであることが活きてくる。強制的に優先度の高い項目を8つまで絞り込まされ、且つ、優先度の高い目標・能力・実現手段をひと目で把握しながら、見直すことができるのである。言い換えれば、「選択と集中を強制的且つ効率的に行える思考支援ツール」であると言える。

このシートは仕事だけでなく私生活にも活用可能なので、目標達成に向けた思考プロセスをたどり、実現手段を整理するために使うことをおすすめしたい。

執筆:稲田 和也
※コラムは執筆者の個人的見解であり、iTiDコンサルティングの公式見解を示すものではありません。

資料ダウンロードはこちら