多事想論articles

日本企業の競争力低下に対する一考察

 「失われた20年」 読者の皆さんももう何度となく耳にしている言葉でしょう。
 ここ3、4年間、経済の状況は改善しているが、長期停滞から脱したとは言えない状況が続いています。
 現に、2018年12月19日の日経新聞に掲載された日経新聞社と一橋大学イノベーション研究センターが共同で実施した「世界の主要企業のイノベーション力ランキング」では、日本企業は11位のトヨタ自動車が最高で、上位50位にはトヨタ自動車を含む4社しか入っていませんでした。

 更にこの記事では、
「1位のフェイスブックと2位のアマゾンは、価値創出力に寄与する営業利益が5年間でそれぞれ3655%、417%増えた。潜在力に寄与する研究開発投資や設備投資を大幅に増やしている。成長が資金力を高め、それを将来への投資に充てて事業拡大につなげる好循環を生んでいる。20世紀にはなかった企業の成長戦略だ」
とも書かれていました。

 「自社でも新規事業やイノベーションに対して一定の予算は組んでいるのになかなかうまくいかない」、こんなことは起こっていませんか?
 確かに研究開発や設備への投資はイノベーションを起こすための重要な要素であることは間違いありません。
 しかしながら、こうした投資だけではなかなかイノベーションは起こりません。これ以外にもイノベーションを起こすためにはいろいろと乗り越える必要があるからです。

 私たちは、イノベーションを起こすことを阻害するものには5つあることをこれまでのコンサルティング経験からつかみました。
 5つの壁とはそれぞれ、発想の壁(発想が従来の延長線上になってしまう)、目利きの壁(良いアデアを選べない、選ぶ指標がない)、投資の壁(リスクを恐れて投資判断ができない)、市場の壁(市場ニーズがつかめない、商品やサービスが市場に受け入れられない)、組織の壁(イノベーションを起こす時に既存のやり方や組織文化に囚われてしまう)です。

 私たちiTiDコンサルティングが実施した約200社の経営幹部の方へのイノベーションに関するアンケート調査では、約62%の方々がイノベーションに対して自社には組織の壁があると回答しています。投資に関して壁を感じている企業は13%に過ぎませんでした。

 組織の壁とは、イノベーションを起こす時に既存のやり方や組織文化に囚われてしまうことであると述べました。
 イノベーションは先が見えなく不確実性が高い状態が続き、なかなかうまくいかないことが多いです。

 一方で、企業や組織は成功体験を繰り返して大きくなりますが、その過程で業務プロセスや設備は最適化され、人事評価やプロジェクト評価も成功が前提になり、企業で働く社員の意識や組織文化にも浸透していきます。その結果こそが壁そのものになってしまうのです。
 そのため、イノベーションを起こそうとしても従来型の仕事のやり方に囚われてしまったり、自分自身やプロジェクトの評価を恐れてチャレンジを避けてしまうことや、他のメンバーが実施している新しいことへの取り組みに対して苦々しく感じて排除してしまったりします。
 当然、この壁は成功体験が積みかさねて大きくなった、いわゆる大企業ほど強く立ちはだかる傾向にあります。

 読者の皆さん自身や皆さんの会社はどうでしょうか?
 現在、兼務で新しいことを考えるプロジェクトに参画しているが、どうしても既存の業務を優先せざるを得ない、自社の新規事業プロジェクトは、進んでいなく見えてなんだか遊んでいるように感じる、毎年新規事業のプロジェクトは立ち上がるがいつのまにかなくなっている、などはないでしょうか。
 もしも上記のようなことがあるならば、皆さんの会社にもイノベーションを起こすことに対する「組織の壁」が存在している証拠です。

 逆にそうではなく、突飛なアイデアや、今はない奇抜なアイデアでも社内で進めることができる環境がある会社であるならば、今は売上や利益など数字には現れていなくても、今後伸びる要素を持っている会社だと私は思います。

 iTiDコンサルティングが開発したイノベーションキャンバス®では、組織がイノベーションを起こすのに適した組織なのか。課題があるとすればどこなのかを診断することができます。読者の皆さんや皆さんの会社が新しいことや、イノベーションを起こそうとしているのであれば一度診断してみては如何でしょうか。

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 引用 日経新聞 革新力 コラム(2018年12月18日)

執筆:村山 誠哉
※コラムは執筆者の個人的見解であり、iTiDコンサルティングの公式見解を示すものではありません。

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