多事想論articles

問題解決力を高める「無意識の思考」

いくつか前のコラムで「思考の整理学」が紹介されていましたが、私も以前その本を読み感心・共感した一人です。中でも最も印象に残っているのは「考えを寝かせる」という話です。そこには「一度で答えを出そうとせずに、わからないものはわからないと一旦諦め、しばらく時間を置いてからまた考える。そうすると良い答えが浮かんでくることがある。」というようなことが書かれていました。それまでは一気に答えを導き出せない自分を「思考力に欠ける」、「優柔不断」とネガティブに捉えていましたが、良い答えを導くために必要な手続きでもあるのだと考え、救われた気持ちになったことを思い出します。また同時に数十年前から個人的にその存在を信じていた「無意識の思考」(意識的に思考していない時でも、裏で働いている思考行為)を裏付けるような言説がある事を知って、うれしく感じた瞬間でもありました。

読者の中にも、下記のような経験をしたことがある方がいらっしゃるのではないでしょうか?

・電車で移動中に、ふと良いアイディアが浮かんだ
・新しい情報を得たわけでもないのに、急により良い解決策を思いついた
・寝る前に悩んでいた問題の答えが、起きた時に見つかった
筆者はこういった現象は「無意識の思考」に導かれた結果であると考えているのです。

この「無意識の思考」は、毎回確実にとは行きませんが、思いがけず良いアイディアを思いつかせてくれたり、答えを導き出してくれたりして、何度も助けられました。セレンティピティ(偶然をきっかけに幸運を掴み取ること)に恵まれ、とても得した気持ちにさせてくれます。誤解を恐れずに言えば、小人がどこかで仕事をしてくれていて、結果を耳元で囁いてくれるような感覚でもあります。

私は自分自身の経験からこの「無意識の思考」を最大限うまく働かせるコツは2つあると考えています。

1、処理し切れないと思えるくらい多めの問題・課題、関連情報を頭にインプットしておくこと
2、それらの問題・課題を短時間で良いので集中して考え、寝かせておくこと

こうしておくことで「無意識の思考」がアイディアや答えを導いてくれる機会がとても増えると感じています。

こんな話をすると怪しいクスリでもやっているのか?と疑われるかもしれませんが、調べてみると著名人にも同様の逸話がかなりあります。

・落ちるりんごを見て万有引力に気づいたニュートン(諸説あり)
・中国の学者、欧陽脩の"三上"(馬上、枕上、厠上)
・入浴中に思いついたアルキメデスの原理(純金製でない王冠を壊さずに見破る)
iPS細胞で有名な山中伸弥教授のシャワー中のひらめき

また最近は、科学的な根拠が徐々に揃いつつあるように感じています。最新の脳科学によると「安静にしているときにだけ働く脳の部位のネットワーク」があり、これらはその働きによるものだと考えられるようです。また、脳は睡眠時に情報の整理を行っていることが分かっており、その効果もありそうです。私はこれらの相互作用が「無意識の思考」の一部を成しているのだと考えており、いつか全容が解明される日を楽しみにしています。

まだ信じられない?
まずはお試しあれ。

執筆:蟹江 淳
※コラムは執筆者の個人的見解であり、ITIDの公式見解を示すものではありません。

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