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開発組織編制 -専門化と統合-

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 組織編制の具体的な話に入る前に、製品開発について簡単に整理しておく。 製品開発とは作り手である企業のコンセプトをモノやサービスとして具現化していく行為であり、頭の中の考えを形に変換していく行為とも解釈できる。 通常、コンセプトを実現するにはいくつかの要件を同時に達成する必要があり、それらは基本機能や製造性、安全性、耐久性といった要件に分類される。 同様に、具現化されるモノはアセンブリや部品に、サービスは保守、点検、バージョンアップなどといったサービスメニューに細分化されていく。

 これを概念図としてモデル化すると下図1のようなダイヤモンド状のツリー形式で表現できる。 左から右に放射状に広がる部分がコンセプトを要件に細分化している部分に該当し、左から右にツリーが収束する部分が細分化されたコンセプトを具現化していく部分に該当している。

 このような概念図にあてはめて考えてみると、製品開発は要件を高度な要素技術に分解つまり『専門化』して個別に確立させる行為と確立した要素技術を『統合』しながら具現化していくという二つの側面から構成されていることが解るだろう。 特に、この統合側の構造や技術をいかに設計し調整するかといった設計思想を『アーキテクチャ』と呼び、組立て型の製品を得意とする日本の製造業はダイヤモンドツリーが複雑になる相互依存の多いアーキテクチャに強いといわれている。

 このツリーを見ればわかるように、個々の要素技術が成立しなければ製品としては成り立たない。 それと同時に要素技術だけが成立していてもアーキテクチャがまずければ、これまた製品としては完成しないのである。 つまり組織編制を考える際には、要素技術開発に代表される『専門化』とアーキテクチャに代表される『統合』という二つの側面を上手く機能するように考えることが非常に重要な点となってくる。

key1-zu1.png図1 ダイヤモンドツリー

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