多事想論articles

開発組織編制 -プロジェクトマネージャに現れた変化-

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 「今回の組織変更はA社にとって画期的なもの。今までは専門技術の深耕に主眼が置かれていたが、これからは製品軸の仕事が大きくなり社員にとって刺激的な組織といえる。」と担当者は意気込む。

 その一方、組織だけを変えても行動がなかなか伴わないことは想像に難くない。「新しい組織になって思うように上手くいかないことも多い。開発プロセスの整流化をはじめとして今まで様々な改善を重ねてきたが、まだ完全とは言えないだろう。だが、社員に新しい変化の兆しが見えはじめていることは確かだ。」と現状を冷静に捉える一面も見せている。もともと機能別組織を採用していた経緯から、変化の兆しの多くは製品別組織の主にプロジェクトマネージャに見られたようだ。

 あるプロジェクトマネージャは次の開発でやりたいことを自分の仮説として設定し、販社と一緒になって数ヶ月間お客様を見てまわった。自分の仮説を徹底的に現場で検証することで、企画の狙いもはっきりし、新たな改善案も浮かんでくる。自分が見聞きして感じた思いがそのまま企画書に込められているので、企画の説明も自信に満ち溢れたものになった。また、今までは意思決定を上長に安易に委ねてしまうケースが目立ったが、こうした裏づけが自信となり、自らが上役に直接交渉しながら意思決定をしていく姿勢も見え始めた。

 また、マネジメントの仕方も今までとは変ってきている。結果を残したプロジェクトマネージャのマネジメント方法を調べてみると、プロジェクトマネージャが担当者のやる気を起させるような動きをするタイプと、こまめに担当者に指示、確認をする二つのタイプが存在した。プロジェクトマネージャと担当者では考え方も感性も違い、プロジェクトマネージャの意図はなかなかそのまま担当者には伝わりにくい。どちらのマネジメント方法が優れていると一方的に決め付けることはできないが、プロジェクトマネージャ自身が担当者の資質に合わせてマネジメント方法を工夫している点は評価できる。

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