開発組織編制 -まとめ-
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A社にとって以上のような変化の兆しは部分的であって、まだ全社的なものになってはいない。 それでもA社の開発組織体制の評点が良かった事実を捉えると、組織変更の狙いとその効果は少しずつではあるが、確実に社員に浸透してきていると推測できる。
最後にA社の事例における開発組織編制のポイントをまとめると次の様になる。
(1)新しい組織編制の狙いは何だったか?→ 顧客インサイトの企画と開発
(2)どんな組織戦略を立て、どんな組織を採用したか?
→ 『ビジネス環境や顧客ニーズの把握』と『専門技術開発の深耕』の両立
重量級プロジェクトマネージャのマトリクス組織
(3)社員にどんな行動変化が現れたか?
→ 顧客を知り、そこで感じた自分の思いを開発に込める姿勢
自分で考え、行動する力
メンバーを有機的に動かすマネジメント方法の習得
これらはあくまでA社の一例であって、組織の形に一定のあるべき姿は存在しない。大事なことは、自社の置かれている外部環境や内部環境の変化に応じて、その都度組織を変化させながら、マネジメントのスキル向上と工夫を社員に促すことである。 そのためには、組織編制の狙いや戦略を新しく採用した組織体制に紐付けながら、社員に説明することを忘れてはならない。
参考文献
・生産マネジメント入門Ⅰ、Ⅱ
藤本隆宏 著(日本経済新聞社)
・製品開発力
藤本隆宏+キム・B・クラーク 著(ダイヤモンド社)
・通勤大学MBA〈11〉MOT―テクノロジーマネジメント
グローバルタスクフォース 著(総合法令出版)
・組織デザイン
沼上 幹 著(日経文庫)