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評価(テスト)の最適化 -B社の事例-

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(1)製品の評価内容の抽出法

 精密機械OEMメーカーのB社は、開発プロジェクトの難易度によって評価内容を変更している。開発難易度が低ければ、類似前機種からの評価結果を参考に評価内容を流用するだけでなく、今回開発する製品で同様の評価を実施するか否かまで検討している。開発全体で見ると平均的に6、7割が過去の類似機種の評価内容を用いている。また評価の網羅性を高めるために、B社では部品の共通化率を高める活動を行っており、この割合と評価内容や項目数には相関があることも実証している。基本的にはA社同様、既存品からの流用部分を検討し、それ以外の部分にQFDなどの手法を用い、新たな評価を検討することで問題が生じることはないという。
 また、B社の場合も過去トラブルのデータベースを上手く活用していた。データベースへ登録するときにはその登録者が自ら必ずなぜなぜ分析をやり、その結果原因究明して再発防止策を導いた上で登録することがルールとして決められていた。このルールは開発担当者全員に周知されている。登録されたデータの活用にも工夫がなされており、設計FMEAを作成するときは製品のエキスパートが同席の上、登録された不具合情報をFMEAにフィードバックしているという。またこのFMEAが作成される時期はQFDの作成とほぼ平行して行われるということから、製品仕様が検討されている開発初期から製品評価も検討されていることがわかる。

(2)評価計画の作り方

 B社は開発プロジェクトの標準的な日程や工数を示した標準プロセスを持っており、評価に関してはこれを基に作成している。そして、この標準プロセスを基に作成された開発計画からプロジェクトマネージャと営業担当者、企画担当者が、当該機種の開発について製品の品質向上(スペックの向上)や開発期間の短縮をする等の狙いを考慮して、最終的な計画を決定している。またB社の場合品質に関して、例えば「ある開発時期の確認項目において70%達成していること」というような製品の到達基準が開発の初期段階で設定されている。この70%達成することという数値の根拠については過去の開発プロジェクトの実績から導かれている。このような綿密な計画を作成する理由としては、計画や目安がないと開発が進まないということが基点となっている。しかし計画はしたものの実績がどうしても伴わないプロジェクトもまれに存在し、その場合には例外的なDRを実施することによってプロジェクトの方向性を見出すなどの工夫がなされている。

(3)設計検証と製品評価の考え方

 B社の場合は製品の試作以前の評価はメカ・エレキ・ソフトの機能別設計者が担当しており、試作製作後、商品全体のシステム評価は評価部門(評価技術部)が行っている。しかし、製品の評価全体を見渡し、把握しているのはプロジェクトマネージャであり、開発計画と進捗に見合った評価用試作機の台数を決定するなど製品全体に関わる評価の計画について責任を担っている。

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