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評価(テスト)の最適化 -C社の事例-

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(1)製品の評価内容の抽出法

 精密部品メーカーのC社の特徴的な活動は、A社、B社で実施していた新規の開発部分についてQFDから評価内容を導き出すという活動に加えて、プロジェクト横断的な場として位置づけられる"技術交流会"で新規の評価内容を導くという方法である。メリットとしては、DRであれば開発プロジェクトのメンバーが中心であり、評価内容に付いても同じ観点で見がちであるが、技術交流会では複数の異なる開発プロジェクトのメンバーが参加しており、さまざまな技術の話題を通じて多様な視点が得られることである。開発している製品の規模や開発体制に依存した活動とも考えられるが、C社ではこの技術交流会の活用によって、製品の不具合件数も減らすことに成功している。
 過去のトラブル情報を活用するという点ではA社、B社のようにデータベースに蓄積するだけでなく、品質保証担当者が中心となって設計チェックリストという普段の設計時に設計者が目にするリストに内容をフィードバックする仕組みがある。同様の仕組みはB社でも見受けられたが、情報を検索し、調べることによって再発防止策を促すだけではなく、いわば強制的に実設計へフィードバックさせるにはより確実な方法であると言える。

(2)評価計画の作り方

 評価計画の作り方に関しては、C社でもA社と同様、類似前機種を基にした"評価"の標準計画が定義されており、開発規模に合わせて標準計画を見直すという運用をしている。

(3)設計検証と製品評価の考え方

 C社の場合は設計者が主に製品評価を行い、品証担当者は製品の信頼性だけをチェックしていた。これを聞くと一見評価のやり方として悪いケースのように受け取られるが、前述したようにC社では設計チェックリストに第3者評価の内容に関しても常に反映されており、それに従って実施された評価内容や結果を品証担当者が同席するDRでレビューしていた。つまり評価を実施する人は設計者であるが、その結果の吟味では第3者評価がなされていた。このような方法が成立するのも製品の特徴が大きく関わっていると考える。それはC社で開発される製品が使い勝手やデザイン性などを含む官能的な評価が少ないためであり、評価結果の良し悪し(OK、NG)の判断が定量的な値で概ね実施できるということが大きな要因である。

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