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評価(テスト)の最適化 -まとめ-

(9/9)

 ここでは事例として3社を取り上げたが、改めて見直してみる。

(1)「製品の評価内容の抽出法」
3社ともに企画もしくは設計開始段階でQFDやFMEAをきちんと実践していた。これは開発をスタートさせた後で仕様の抜けや重大なリスクが発覚した場合に、大きな手戻りになることが全社的に周知されているからだと感じた。また類似前機種の評価内容を流用する場合でも闇雲にするのではなく、これから開発する製品の評価内容を検討し把握した後に活用することが評価を効率良く実施できている要因であることがわかった。更に過去のトラブルを活用する場合でもシステムにインプットされる情報があらかじめ吟味され、またその情報を活用する側に立った提供方法が考えられていた。

(2)「評価計画の作り方」
3社を比較すると最初に開発計画を立てるか、評価計画を立てるかの差異はあったものの、いずれにしても評価計画が開発初期に作成されていた。その基になるものとして標準的なプロセスを持っており、開発する製品の特徴に応じて修正をかけ活用していた。

(3)「設計検証と製品評価の考え方」
3社ともに開発製品・体制の特徴によって実施方法は違うが、第3者的な観点による評価が得られるプロセスを持っていた。

 2007年度に実施した開発力調査において『評価(テスト)の最適化』の指標で高い評点であった会社では品質向上に寄与する有効な活動(例えばQFDやFMEAなど)は当たり前のように実施されていた。この"当たり前"という表現に関心を寄せる方も多いと思う。自社を見たときに規程には書かれているが開発の現場で実践が伴っていない会社も少なくないからである。また加えてそれぞれの会社で工夫がなされており、それは開発製品の特徴や開発体制などに強く影響を受けているということがわかった。これらの工夫は各社各様のこれまでの開発経験で培われたものであるに違いない。しかし、ここで紹介した3社は過度に経験だけに依存した製品評価をしているのではなく、基本となる評価プロセスが基盤となっているからこそ、工夫を生かすことができ、開発プロジェクトも成功を収めることができたということを忘れてはならない。
 製品の評価について"良い"やり方を3社にお伺いしてきたわけだが、取材中、他社がどのように進めているか、自分たちのやり方が不十分でないかとの質問を多数受けた。その際には弊社がご提供している製品評価に関する施策のお話などをさせていただいたが、ここで取り上げた3社であっても製品評価について更に良い方法を探求し続けていた。
 本編を基に是非一度自社内の製品評価についてご確認いただきたい。そしてその結果が貴社における今後の改革・改善活動につながれば幸いである。

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