多事想論articles

ソフトウェア設計 -事例-

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 前述のソフトウェア設計の問題をどのように解決しているのか、第2回開発力調査で評点の高かった組織の事例を紹介する。

【事例1】

 各自動車メーカやカーエレクトロニクスメーカ向けに、カーオーディオ/カーナビ製品を開発しているA社では、かつて同じ組織内で顧客毎に分かれて別々にソフトウェアを開発していた。つまり、似たような機能をもったソフトウェアを複数つくっていたのである。その非効率な開発を見直すため、組織を顧客毎に要件をまとめる機能とソフトウェア開発機能に分け、後者の開発機能を、顧客毎に別々ではなく機能別に編成しなおした。 そして、これを機にソフトウェア構造及び機能の共通化を推進し再利用率を70%まで高めている。また属人化を排除するプロセスの標準化も並行して進め、CMMIレベル3相当にまで達している。再利用するソフトウェアの整備には特別な要員を充てることを嫌い、開発と開発の短い間で開発者が自ら整備する方法をとっている。ソフトウェア開発部門を率いる部長の改善に対する意識とリーダーシップは高く、ソフトウェアの枠を超えエレキ・メカも含めた共通化にも取り組んでいる。

【事例2】

 エレクトロニクスメーカB社は、ある製品について低機能版、高機能版を設けた際、市場ニーズに合わせた個別最適なソフトウェア開発を行い、ソフトウェアの系列が三つに分かれた。 また、それぞれで体制を組んで開発を行なっていたため、できるところは共通化しようという担当者レベルでの方針はあったものの、共通化するための具体的な仕組みや上級管理層の支援がなく、結局似たような機能を別々に開発するという非効率な開発を行なっていた。それをやめるため、高コスト体質を改善するべくトップ号令で、ソフトウェアの共通化に取り組み、製品系列毎の体制を解体し機能別組織に改編し、コア資産となるソフトウェア共通部の構築と共通部の維持・活用を義務化した開発プロセスの整備を実施。また、並行して進められている電子部品の共通化活動とあわせ、仕様の標準化にも取り組んでいる。

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