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機能割付け -なぜ、機能割付けはうまくいかないのか?-

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近年、製品が一段と多機能化し、機能間の依存関係も複雑になり、開発規模が大きくなった。しかも短納期で開発することもあいまって、機能割付けをする時点では、要求される機能や性能目標があいまいなまま開発を進めることが多い。

顧客に提供したい機能を既存の技術を使わずにまったく新しく作る場合でも、既存の技術を積み上げて小変更で作る場合でも、最終的にその機能を1つの製品に実装していくためには、実装したい機能のイメージを開発チームのメンバーで共有し、その上でメカ、エレキ、ソフト間で確実に受け渡しができていなければならない。
しかし各分野の担当者の経験や知見は同じではないことから、どうしても担当者によってお互い(メカとソフトとの間、エレキとソフトとの間、メカとエレキとの間)のインターフェース部分の捉え方に食い違いが生じてしまう。

その結果、設計を進めていく中でサブシステムやモジュールといった個別の開発要素間のインターフェース設計が不十分だったり、性能目標の配分が不適切だったりすることになり、冒頭で紹介したように開発の終盤になって重要な機能が動作しないといったトラブルが起きるのである。この傾向は、一から機能を割付けていく新規開発より、既存機種をベースに派生品を開発する場合の方が強い。

機能を上手に割り付けるときことができるかどうかは、企画そのものや開発要素間のインターフェースとなる部分に対する担当者間の認識のズレをなくし、いかに共通の認識をもつことができるかという点にかかっている。このあと2つの先進企業の取組み事例を見てみよう。

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