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機能割付け -まとめ-

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最後に先進企業の取組みにおける機能割付けのポイントをまとめておく。

(1) 企画とりまとめの専任化
  • 企画をとりまとめる技術力をもつ人を育成し各プロジェクトに1名専任で置くこと。
(2) 機能責任者の明確化
  • 対象となる機能の実現手段ばかりを見るのではなく、機能の評価にも目を向け、評価責任者を明確にすること。
(3) 関係者全員による情報共有
  • 機能割付けの結果は、その後の開発作業の枠組み(ベース)となるため、各機能の担当者一人一人がその内容を理解できるよう情報共有すること。
(4) 決定事項の定期メンテナンス
  • 時間が経つと結論に至る経緯や背景などは記憶から薄れる。週に1度関係者全員で機能を割り付けたときの経緯や背後にある前提条件に変化がないか?さらに顧客の要求に対する機能自身のありたい姿に変化がないか?を確認すること。

上記の4つのポイントはあくまでも一例にすぎない。企業を取り巻く環境や社内環境は決して同じではなく、各社に応じた創意工夫が必要だ。ものづくりの前段階、特に機能割付け時点で、関係者全員が認識のズレをなくし共通認識をもつことができれば、そのことがフロントローディングを実現することになり、開発の終盤に起こり得る設計起因の不具合を未然に防ぎ開発期間の短縮や開発コストの削減といった大きな成果を掴み取ることができるだろう。

参考文献

・製品開発論
 円川 隆夫 (著), 安達 俊行 (著) (日科技連)

・デザインプロセスイノベーション
 根城 寿、島田寛之、石橋良造(日経BP社)

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