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必勝法を作る

 昨今、絶対XXXできる法則なる書籍が街にあふれています。先日は話題づくりでしょうが、絶対に大ヒットする曲をTV番組で紹介していました。では、本当に法則通りになるかというと決してそうはいかないのは皆さん御承知の通りです。理由を整理すると、ゴールである大ヒットの意味を明確にすることは当然のことですが、その構成要素が多いため網羅的にリストアップ出来ないことがあります。仮にCDの売上何十万枚というのをゴールとしたとしても、曲、歌い手、パッケージデザイン、宣伝等々数多くあり全てがかみ合って初めてヒットが生まれる可能性があるのでしょう。ですので、どんなにいい曲を作っても、それだけでは全く売れない可能性もあります。またそれぞれの構成要素はさらに分解し、考え易い単位までは単純化しないと必勝パターンは考えられません。しかし、これ以上単純化出来ない単位にしてもデザイン等は複雑のままです。また、単純化して考えたあと、もう一度組み直すと特徴のないものになってしまったり、バランスの悪いものになってしまう危険性が付きまといます。

 紹介されていた曲を例にとると、大ヒットの曲の構成要素としての歌詞、サビ、転調、ラップ、日本人の好きなコード進行等に分けてヒットの共通要素を抽出して作ったようです。どこかで聞いたことがある、わりといい曲に仕上がっていたものの、やはり何か欠けている感はどうしても否めませんでした。

 では、必勝法というのは何事にも存在しないのでしょうかと言うと、そうでは無くゴールの構成要素が単純化できて、他からの影響を受けにくいものであれば存在します。例としては、9マスを使った3目並べです。この3目並べ、ゲームの全貌を知った上で、先手になれば絶対に負けません。もし相手がゲームを熟知していなければ勝つ確率も90%以上です。(相手もゲームを熟知していたら必ず引き分けになります)このような単純なゲームであれば、3目並べるというゴールに対して、ゴールに至る分解が完全に出来て、必勝法、完璧な不敗法が存在します。

 世の中の事象は、このように単純でないことが圧倒的に多いので、実生活での必勝法というものは存在しないのかもしれませんが、向かうゴールを分解整理してみる、成功パターンを学んでみることは無駄ではないはずです。でも分解すること、勉強することをゴールと取り違えて、それをやったことで満足しないでください。それに留まらずに一歩踏み込んで、自分なりのエッセンスを加えられた時にこそ、新しい価値を生むことが出来ると考えます。

執筆:北山 厚
※コラムは執筆者の個人的見解であり、ITIDの公式見解を示すものではありません。

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