多事想論articles

最大の力を発揮する状態とは

 私は年1回、誕生月の8月に人間ドックを受診しています。毎回結果が出るまでは不安になるものですが、今回は悪玉コレステロールが基準値を大きく超えていたことで、要治療、生活改善を余儀なくされました。他にも尿酸値等、基準値を超えた測定項目もいくつかあり、日ごろの不摂生でと言ってしまえばそれまでです。しかし、これで軌道修正をするための人間ドックでもあるわけですので、生活改善策を真剣に検討しました。

 生活改善策としては、運動、睡眠等もありますが、やはり食事改善が最も重要だろうと考え、特定保健用食品やサプリメント、機能食品を集中的に検討しました。それら多種多様な健康食品の中で、私が惹かれたのが「エノキ氷」でした。エノキ氷は昨年ごろからダイエット効果が高いということで、メディアでも取り上げられているのを目にしたことはありました。しかし、エノキ茸を砕いたり、氷にしたりしなくても、普通に調理して沢山食べればいいでしょうと、あまり気に留めていませんでした。しかし、いざ調べてみると、氷にすることで効果が何倍にもなるということに興味を引かれ、思わず通信販売で購入してしまいました。試し始めてまだ日が浅いため、実際の効果に関しての報告は別の機会に譲るとしまして、なぜ、砕いて煮詰めて氷にすると効果が上がるのかが重要なところです。それは。エノキ茸の食物繊維の中にある硬い細胞壁が砕かれ、脂肪の分解を促進する「キノコキトサン」という成分が出やすくなるからだそうです。また、凍らせると細胞が膨張して破れることで栄養分が細胞の外に出て、人体に吸収されやすくなるからだそうです。

 この砕かれたり、破れたりしてという、ちょっと乱暴な言葉で表させるエノキ茸にとっては、かなりの負荷をかけられ、完全なる塊からある程度分離された状態が、最大効果を与えられる状態であるといっています。これは人間の健康、生存にとってという一方的な視点ではありますが、最大の効力が発揮される状態は、負荷がない、また硬直して固まった状態ではないということを表す、わかりやすい事例だと思うのです。

 植物でも、動物でも、人間でも、生命体というものは、最大の力を発揮できる状態は近しいとすると、人間もある程度の負荷を与えられて、ある程度組織からも独立した個性を持ち、発揮できていることが最高の状態なのではないでしょうか。ところが、最近は、自我が確立できてない子供のころから、叱るのではなく、褒めることが絶対であるという風潮があります。また、学校でも、組織でも、周りとは波風立てず、長いものに巻かれて生きていくのが賢い生き方になっている気がします。この夏、TVドラマ「半沢直樹」が大流行しました。実は大多数の人間は、違うなと思いながらも行動に起こせない自分をバーチャルでも解放できたという要素が多分にあると思います。

 脳でも、筋肉でもそれらをとことん使うことによって、活性化、成長します。人間も何のストレスもなく過ごしていると、もしくは、悪いストレスがあるのにそれをストレスとして受け止めないように習慣化してしまうと、細胞が鍛えられずに力が発揮できなくなってしまうでしょう。そうならないように、時には良いストレスをかけたり、個を出したりすることを忘れないようにしてください。

執筆:北山 厚
※コラムは執筆者の個人的見解であり、ITIDの公式見解を示すものではありません。

資料ダウンロードはこちら