多事想論articles

投票率を上げるには

 7月の参議院選挙。各候補者はいつもながらの選挙運動を繰り広げていましたが、れいわ新選組の新しさとN国党の一点集中の公約が際立った程度で、過去2番目に低い48.8%という投票率で終わりました。投票に対する動機低下、興味不足は火を見るよりも明らかです。

 「参政権の行使による投票はとても大切です。だから投票に行きましょう。」この文章は正しいことを正しく伝えています。しかし、このことを声高に叫んでも、投票率が上がることは無いとしか言いようがありません。消費税増税はほぼ決まってしまっている感もあり、直近の自分の仕事や生活に影響がほとんど無いと見えてしまっているからです。
 自分には関係ないことには関心を持ちにくいもので、例えば病気に罹る前の予防は大切なのは分かっているけど、発症していないので、自分とは関係が無いという思いがどうしても強くなりがちで、ついつい不養生してしまうということなどが挙げられます。大切だと分かっていても自分ごとと認識されないと行動を起こさないことは人間が持って生まれた性なのかもしれません。

 では、正しいことを正しく伝えても行動につながらない場合、どうすればいいのか。選挙に関して調べてみると、「センキョ割」といわれる取り組みがありました。投票時に投票所で発行される投票済証を、後日「センキョ割」に参加している店舗(全国900以上)で見せると割引が受けられるというものです。つまり、選挙に行くと得するわけです。(ただし、この取組みは公職選挙法に規定がないこともあり、各市区町村選挙管理委員会の判断に委ねられているという曖昧なものです。)この例は議員選択とは直接は関係ありませんが、自分に何らかのメリットが有るとなれば、投票率アップに繋がる可能性はあります。また、投票を義務化し、行かない場合には罰金を課すという制度を敷いている国も、オーストラリア、シンガポールなどを初めとして少なからずあるようです。つまりは、アクションを取るといいコトがある、アクションしないと悪いコトがある状況をつくりだすことが必要です。しかもそのコトは出来る限り近い将来に起こるようにすると効き目はより大きくなります。10月には消費増税を契機に、キャッシュレス化促進のための還元キャンペーンが始まります。今まで、遅々として進まなかったキャッシュレス化ですが、この取組みは消費者メリットの打ち出しが明確ですので、さらに還元の即時性、実感が高ければ高いほど変化を加速できるでしょう。

 仕事においてでも、家庭においてでも、コミュニティー活動においてでも、何か変化を起こしたい場合には、地道に正しいことを正しく伝えることに加えて、変わると得られるメリット、変わらないと被るデメリットをあえて仕組みとして作ったり、明確に定義したりすることを考えてください。簡単ではないかもしれませんが、それらを合わせて行うことで、変化を引き起こす可能性は間違いなく高くなることでしょう。

執筆:北山 厚
※コラムは執筆者の個人的見解であり、ITIDの公式見解を示すものではありません。

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