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上司が部下の成長のためにできること

 マネージャという仕事をやり始めてから、お客様はもちろん、同じような立場の方から「人が育たない」「人材育成は難しい」という声を良く聞くようになりました。急速に多様化、グローバル化していく時代においては個々人の能力が事業成功の秘訣です。上司としては部下がスピード感を持って成長し、やれる仕事を増やして欲しいと考えてやみません。ですので、より一層人材育成の難しさは強く感じます。しかし、一方で世の中に成長している人はいるのですから何かしら原則はあるのでしょう。では、どうしたら人は早く成長するのでしょうか。

 人が大きく成長する際には「自信をつけること」「挫折を味わうこと」の両面が必要です。「自信をつける」のは自分にとって困難な仕事に全力で取り組んだ結果、例えば「とてもお客様に喜ばれた」「業績に大きく貢献できた」「上司や先輩に褒められた・認められた」といったフィードバックを感じられた時ではないでしょうか。また「挫折を味わう」のは本人にとって困難な仕事に全力で取り組んだ結果、例えば「お客様に心から喜ばれなかった」「今の仕事に対して貢献が出来なかった、足を引っ張った」といった時ではないでしょうか。特に過去に「自信をつける経験」をした人が好ましくない結果を経験すると「挫折」になります。そして「挫折」を真摯に受け止め、成長にコミットして取り組んだ結果が「次の自信」を生みだします。従って、「自信をつける」「挫折を味わう」の両方を順番に体験できると、成長サイクルが加速するのです。

 これを実現するために、上司には2つの行動が必要です。1つはこのサイクルを回すための「適切なアサイン」です。そしてもう1つの方が重要なのですが、「とにかく部下をよく視る」ことです。部下の仕事を視て、「成功させるためのさりげないフォロー」「挫折した瞬間のケアおよび次へのヒント」をタイミング良く出来るかに掛かっています。これは日頃からよく視ていないと出来ません。上司が部下をよく視てアクションした分だけ、部下の成長は早まるのです。プレイングマネージャが増えている今だからこそ、基本をおろそかにせず、上司としてやるべきことをしっかりとやることが重要なのです。

 皆さんは部下をよく視ていますか? そしてアクションしてますか?

執筆:星野 雄一
※コラムは執筆者の個人的見解であり、ITIDの公式見解を示すものではありません。

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