多事想論articles

ダマされてみる

みなさんは新しい取り組みを始める時や高い目標を実現しようとするときに、結果を想像して取り組みそのものをやめてしまうことはありませんか?学生・社会人生活と様々な経験を積み、結果に対する予測能力が高まると、達成確率の低いことに手が出なくなってしまう、私もそんな風に考え、新しいことへのチャレンジに二の足を踏んだことがあります。しかし、変化や大きな達成感がないと毎日の生活や仕事が味気なくなってしまうことも事実です。そんな葛藤の渦から飛び出すためにヒントとなる出来事が最近あったのでご紹介したいと思います。

私は小学四年生の息子が所属しているサッカーチームのコーチをやっています。子供たちはサッカーが上手になりたい一心で毎週末の練習に参加していますが、これまで参加した大会では結果を残せずに悔しい思いをしていました。そんなチームが今年の春季区大会で優勝できたのです。父兄も他のコーチも大喜びで、子供たちにとっては大きな経験・達成感を得ることができた大会でした。そこで、大会終了後のミーティングにおいて、なぜ優勝できたのかを子供たちと振り返りました。私の「どうして優勝できたのだと思う?」という問いに、子供たちは面食らったような顔をしてこう言いました。『「だって、コーチが強そうな○○チームに勝てたら優勝できると思うよ」って言ったじゃん!』と。実は○○チームは下馬評では息子チームより下位に位置していました。そこで私は○○チームの良いプレーを取り上げて、○○チーム=強いチームのイメージを作り上げました。その上であのチームに勝てれば君たちはもっと強いはず!と子供たちをダマしたのです。まんまと乗ってしまった子供たちは初戦で○○チームに3対0で勝利し、実力が拮抗している他のチームからも勝ち星を挙げてそのまま優勝できたのです。

このやり取りの中で私が感じたことは、私の言葉を信じて子供たちが過去の成績にとらわれることなくチャレンジし、日頃の練習の成果を発揮して、最高の結果を呼んだということでした。人間の脳は環境や体の状態に影響を受けやすいと言われています。例えば、やる気がないと感じた時に少し頑張ってジョギングなどで体を動かすと、体が動いているのだからやる気があると脳が認識して脳内物質を分泌し、その結果本当に活力が湧いてくるといった研究結果が報告されています。このような脳の働きをうまくコントロールし"無理かも"という気持ちを"出来そう"と思わせることが"自分を変える"ことのポイントなのです。息子のサッカーチームの例では、私の発した言葉が子供たちの脳に影響を与え、「優勝は無理だろうな」という考えを「○○チームに勝ったら優勝できるぞ!」と変化させられたことが良かったのだと思います。

我々がお客様と共に推進している業務改革でも「色々やったけど、自分の業務は楽になっていない。今回も同じだろう。」と過去の経験からの予測に流され、否定的な見方をされる方もいらっしゃいます。そのような方の脳をダマすために、改革活動の初期段階で"どうせ無理"から"出来るかも、変わるかも"と感じていただくことを意識しています。

そのポイントとは
「ITIDの施策が開発現場の業務時間も考慮し、効率的に成果を出すことができる方法論であること」
「施策を適用することで担当者業務が具体的にどのように変わるのか」
の二点です。
そして私は否定的なメンバーのマインドを絶対に変えるとの信念を持って活動しています。だからこそ、その方に信頼され、脳をダマしてやる気にすることができています。その結果、否定的だったメンバーが活動の大きな推進力となったことを何度も経験することができました。新しいことを始めるときには、信頼している人に上手にダマされてみてください。そうすればコーチを信じて結果を出した子供のように、最初のハードルを簡単に越えられるようになると思います。

 

執筆:榎本 将則
※コラムは執筆者の個人的見解であり、ITIDの公式見解を示すものではありません。

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