多事想論articles

成果物品質を高めるコツ

 新製品開発プロジェクト、社内改善プロジェクトなど、さまざまなプロジェクトを皆さんご経験されていると思います。
「自分なりに工夫して作成した資料が、成果物として採用されない」
「提出した後で追加要望が出てくる」
「優秀な人の作る資料はどこか違う」
メンバーとしてプロジェクトに参画した際、上記のような成果物に関する悩みや疑問を抱くことはないでしょうか?
本コラムでは、私がかつて参画したプロジェクトでの体験から学んだ、成果物品質を高めるコツを紹介します。

 私は以前、弊社ホームページを作成するプロジェクトに参画しました。「iTiDのことをまだ知らない人にも取り組みを知っていただく」という目的のもと、ホームページのリニューアルや運用ルールの整備に取り組みました。プロジェクトリーダーをはじめ、メンバー全員が他案件と掛け持ちしており、議論や検討に充分な時間を取ることは難しい状況でした。それでも、紆余曲折しながらホームページは完成し、運用ルールも整備できました。嬉しいことに、ホームページ訪問者数は当初の目標を大きく越え、さらに、ホームページ経由で多くのお問合せを頂いております。

 ところが、社内の後任者から「このような問合せが来た時の対応フローはあるのか?」「このイベントの対応プロセスはルール化されているのか?」といった、運用に関わる質問を多く受けるようになりました。確かに、ホームページ自体は目標を大きく越えて成功を収めていたのですが、自分たちが完成させたと思っていた運用ルールには検討漏れがあり、充分な品質を満たせていなかったのです。

 では、どうすれば、検討漏れなく品質の高い運用ルールを作ることが出来たのでしょうか?
その答えを探るため、作成工程を振り返りました。運用ルールの目的を定義し、使用シーン・ユーザーを考え、それに合わせてコンテンツを作る、という手順を踏んでおり、抜けている工程はありませんでした。そこで、それぞれの工程の中身まで見直してみたところ、「使用シーンの想定」の中身に問題があると気がつきました。以前のホームページでの問合せシーンは「コンサルティングの問合せ」のみだったに対し、新たに作成したホームページでは、「コンサルティングの問合せ」、「イベントに関する問合せ」、「その他情報提供の問合せ」と、3つに増えていたのです。その結果、新規の2つのシーンに対応する運用ルールが漏れてしまっていました。使用シーンを具体的に整理しておけば、検討漏れに気付くことができ、運用ルールに反映できていたはずでした。

 この経験から私が学んだ、成果物品質を上げるためのコツは、ずばり「先読み」です。成功した先の世界を具体的に想像し、成果物の利用者が望むことを先読みするのです。将来における使用シーンを、より具体的に考えることで、品質の高い成果物を作成できるようになります。

 使用シーンを具体的に考える方法として、私は以下のように実践しています。まず、掲げている目標/目的を書き出します。次に、その目標/目的が達成された状況を5W1Hなどのフレームワークを使い、抜け漏れなく整理します。そして、それを達成したときの相手(お客様)の状況を書き出します。加えて、その状況に介在する人も書き出します。関係者の洗い出しが出来たら、それぞれの立場になり、成果物に対する要望を抽出します。さらに考えを深めるために、例えば "やや問題児"になり、厳しい意見を出すこともします。このように、関係者を洗い出してそれぞれの要望を整理し、使用シーンを網羅的に抽出して先読みすることで、成果物の品質を上げるように心がけています。

 現在皆さんが関わっているプロジェクトの企画書にも、必ず目標や目的、コンセプトが記載されていることでしょう。その文言から、将来の関係者の状況を想像してみてください。例えば、新製品開発プロジェクトであれば、ユーザーはいつどのように製品を使用するでしょうか?使用シーンを具体的に整理してみて、どこかのシーンで不具合を生じてしまうことはないでしょうか?その不具合対応に、サービスチームはどのような情報を欲しがるでしょうか?成果物の使用シーンを具体的に先読みすることで、成果物品質を高めるために必要な情報を抜け漏れなく整理することができます。

 私はこのコツを実践することで、成果物を手戻り少なく短期間で完成できるようになりました。
是非、皆さんも試してみてください。

執筆:宮本 佐和子
※コラムは執筆者の個人的見解であり、iTiDコンサルティングの公式見解を示すものではありません。

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