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PDCAサイクルの肝

 開発業務に携わる皆様は、開発目標を達成するために、業務の改善に取り組まれていると思います。業務改善を実現するための手法として、最もポピュラーなもののひとつにPDCAがあります。PDCAは以下の4つの頭文字で構成されており、このサイクルを繰り返して改善を実現していく手法です。
 ・実行可能な計画を立てる(Plan)
 ・計画を持続して実行する(Do)
 ・現状とあるべき姿のギャップを分析・把握する(Check)
 ・あるべき姿に到達するまでの最短マイルストーンを設計する(Action)
この考え方は、目標達成に向けて段階的に改善を進める際に大変有効です。この中でそれぞれのステップを着実にやるのはもちろんですが、業務改善に役立てるために重要なポイントはC、Aにおいて「客観視」の仕掛けを取り入れることです。

 では、我々は客観視するために、どんな方法を活用しているでしょうか?身近な例で考えてみます。
 まず、学生時代に多くの人が経験した受験勉強。学生は全国模試を受験すると、点数、順位、偏差値により、客観的な今の自身の学力を把握できます。さらに、全国模試の主催機関による客観的な分析結果を受領できます。それらの情報から、志望校合格に必要な学習の優先順位が導き出せます。成績の伸びが早い学生は、全国模試制度から得られた情報をうまく活用し、効率よく受験勉強できている人が多かったように思います。
 また、スポーツや楽器演奏も、プレーヤーや演奏者が自身を客観視するのが困難です。そのため、自身のフォーム・演奏を録画・録音して確認すると、問題に気がつきやすくなり、どのように修正するべきかを容易に把握できます。その上で、あるべき姿を実現するためのトレーニングや練習を組み合わせることで、上達が早くなります。
 このように客観視するために色々な手段を利用すると、あるべき姿に比較的短期間で近づくことができます。

 では、開発業務ではどうでしょうか?具体例でみてみましょう。ある製品開発プロジェクトで開発進捗が遅れていました。要求仕様を固定する時期なのに、まだ不具合が潰しきれず、そのままの仕様では、商品化に移行できない状況でした。開発プロジェクトの関係者は、各々このような状況に至った理由を下記のように認識していました。
 ・Aさん:プロジェクトの進捗管理方法に問題がある
 ・Bさん:質の高い要求仕様を仕入先に提出できていない
 ・Cさん:仕入先の工数見積もり精度が悪い
 ・Dさん:企画段階で仕様検討が甘い
 一体、このプロジェクトでは何が起こっていたのでしょうか?我々がインタビューを重ねた結果、これらはすべて関連していました。企画の仕様検討が甘いから、質の高い要求仕様が提出できていない。そのため、仕入先は精度の高い工数見積もりができない。その結果、仕入先の納品も予定通りにならないという問題構造でした。さらに、開発体制にも弱点がありました。過去の知見や開発工程の下流に蓄積されている知見を企画段階にフィードバックする仕組みがないため、企画担当者は、企画検討に問題があると気がつけなかったのです。社外コンサルタントが関係者へのインタビューを通じて事実の抽出と仮説の検証を繰り返し、関係者自身の客観をサポートすることで、相互理解が深まり、客観的な状況を共有できました。その結果、開発の上流工程である、企画段階の改善活動をまず実施すべきという優先順位が見えてきました。

 私は今、開発現場の業務改善のサポートをしています。日々、お客様の業務改善をサポートする中で、業務改善の肝が客観視であるからこそ、社外コンサルタントの我々が参加する意義があると感じています。このコラムを読んで下さった方々の中で、改善活動に取り組んでいるけれど、なかなか周囲の賛同を得られない、あるいは、社内の対立等により、活動を実行に移せないなどの困りごとをお持ちの方がいましたら、パートナーとしてiTiDがお手伝いできれば幸いです。

執筆:駒田 節子
※コラムは執筆者の個人的見解であり、iTiDコンサルティングの公式見解を示すものではありません。

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