多事想論articles

因果関係を考える

先日、黄砂が日本全国に飛来しましたね。
青空駐車している私の車も黄砂まみれになったので、花粉も一緒にきれいに洗い流しました。
が、洗車したその日の夕方には雨に降られ、ピカピカを楽しめたのはほんの束の間でした。


さて、日本語のことわざで、 「風が吹けば桶屋が儲かる」  という、
「ある事象が発生すると、思いもよらないところにまで影響が及ぶこと」を表すものがあります。

風が吹いたらなぜ桶屋が儲かるのか。
「風が吹く」→「砂が舞う」→「砂が目に入る」→「・・・」と、
桶屋が儲かるまでの因果関係をつないでいくような連想ゲーム(?)もありますよね。
(時代が変わった今は、風が吹くと洗車機が儲かっているのかもしれませんが)


身の回りの物事の多くは、Aという事象(要因)からBという事象(結果)が発生し、
要因⇒結果=要因⇒結果=・・・のようにそれらが連鎖しています。

製造業で働いている皆様は、「なぜなぜ分析」を耳にしたり実践されたことがあるのではないでしょうか。
この「なぜなぜ分析」はある結果に対して、その因果関係を分析していくやり方です。
不良品が発生した際に、「なぜそれが発生したか」を考え、例えば
「硬化不足が発生した」→「炉の温度が低かった」→「温度が安定するまで待たなかった」
  →「マニュアルに記載がなかった」→・・・

と数回深堀りしていくと真因が見えてきて、どういう対策を打つべきかが考えることができるようになりますね。


因果関係は、例に挙げた様な単純な1対1の関係性だけではなく、多くは1つの結果に対し複数の要因が関係しています。
また場合によっては循環することもあります。
この循環を表現する際には「因果ループ」と呼ばれる表記方法が用いられ、
因果ループの例として有名なものに、アマゾン創始者のジェフ・ベゾスがレストランの紙ナプキンに残したと言われる因果
ループがあります。

AmazonCycle.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

※出展:https://www.amazon.jobs/jp/landing_pages/about-amazon

この図から分かるように、「売り手が増える→選択肢が増える→顧客体験の向上→取引増加→売り手が増える・・・」と、
因果ループは定性的な原因と結果ではなく、あるものを変化させたときに、他の何かが増える/減るといった定量的な
関係性を表現することができます。


学問としては「システムダイナミクス」と呼ばれていますが、例えば、
 ・新規サービス・商品を企画したが、どのように売上に貢献するのか
 ・業務改革として取り組んでいる活動が、どのように利益向上に貢献するのか
 ・地方自治体を活性化するための施策によって、どのように人口増や税収増に貢献するのか など、
幅広い領域・目的での利用が可能です。
この因果ループによって効果を分析し、目的最大化のためのアイデアを検討・検証することできます。

社内の改革活動や新規ビジネス企画、身の回りのちょっとしたことなど、
効果や影響を考える際には、本日ご紹介した因果ループで整理してみてはいかがでしょうか。
COVID-19やChatGPTなど、最近の時事を題材にそれが及ぼす影響を考え始めるとなかなか面白く、止まらなくなりますよ。笑

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ISIDでは、大規模で多様な実データから高精度な因果モデルを推測する独自のAI技術を搭載した、"CALC"というツールを提供しています。→CALCについて

シニアマネージャー 元木 和也

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