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顧客要求の裏にあるものを理解する

あなたの組織では、開発初期段階での顧客の要求把握に漏れがあったために、不要なしまったプロジェクトはありませんか?

例えば、開発者は営業を通じて顧客の声を聞いていたのですが、その裏に隠された背景を押さえるところまではできておらず、企画段階では重要ではないと判断された顧客要求が、後になって重要度があがり、対応が必要となって追加試作が発生したような場合です。

顧客が発する言葉の裏には、顧客自身がまだ把握できていない市場の動向などが含まれていることがあります。一番扱いが難しいのは、顧客も頭の中を整理できておらず、具体的な要求や目標値に落とし込めていない場合です。営業が顧客の本音や検討背景などのポイントを押さえたヒアリングができていない場合だと。

製品開発において顧客要求把握の漏れにより生じる影響は、少なくありません。修正作業のための工数が増えるだけでなく、最悪の場合、開発中止といったこともあり得ます。

このような事象を回避するには、まず、適切なフレームを用いて漏れなく顧客要求を洗い出します。それらが求められている背景を理解することが肝要です。背景を理解し、顧客の目的まで遡って整理し漏れを防ぎます。また、将来的にその顧客要求がどのように変化するのかを予測し、要求の重みづけを行います。

顧客要求の裏にある背景を理解できていれば、認識のズレを生じることなく実施することができます。また、開発のインプットとなる技術的要件にもれなく落とし込むことができます。要求把握不足に起因する手戻りリスクが抑制され、結果として開発時間・試作費用の圧縮に寄与します。

的を射た製品・サービスを生み出すために、顧客要求を漏れなく顧客の目的までを把握した上で開発に臨み、不要な試作の繰り返しを抑制したいものです。

シニアコンサルタント 桑野 茂

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