多事想論articles

チームとプレイヤーの成長を促すコーチングスタイル

我が家の小学校4年生の息子は、小学校1年生から地元小学校のサッカーチームに所属している。このチームは、最初全く勝てなかったが、最近ようやく勝てるようになってきた。先日は、他県のチームが30チームほど参加したカップ戦に2チームでエントリーし、2チームとも勝ち上がって賞状をもちかえるほどに成長できてきた。この成長の陰には、チームの監督の良い指導方針があると感じているので紹介したい。


監督は、個人の技術練習やチーム戦術の練習は少なめで試合中の声かけも少ない。そのかわり、選手の自主性を尊重し、個々人の興味を刺激して、やってみたいプレーへのチャレンジを推奨している。そして、できていないことには目をつぶり、新しくできたことを認めて、選手に問いかけをして考えさせることを重視している。そのうえで、個々人をよく見ていて、それぞれが伸び悩んだタイミングで声をかけてアドバイスをしている。


そんな監督のスタイルとは反対に、監督・コーチ経験の少ない親の面々は、はじめ、子供たちの一つ一つのプレーに対して、あれこれダメだしをしたり、プレー中に子供たちに直接的な動きの指示を出して改善しようとしたりする時期があった。驚いたことに、監督自身も、コーチをはじめた当初は良かれと思って我々と同じスタイルをとっていたとのことだった。それが、監督の長男や次男の指導を経て、今のコーチングスタイルにたどりついたようである。


前者と後者のやり方を比較した時に、後者のやり方は「チームや子供たちの成長という観点から見ると効果が薄い」と、監督から直接指導を受けた経験を持つ監督の長男(大学生)が教えてくれた。親からのアドバイスが子供たちにとっては難しいことだったり、子供たち自身のやりたい方向性と違ったりするのが理由だという。結果として、アドバイスに対して反発心が生まれてしまったり、自律性が阻害されたりしてしまう。


あるとき、監督にどうして今のスタイルをとっているのか聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。「プレーをするのはこどもたちであり、親やコーチの我々ではない。だからこそ、こどもたちがやりたいプレーをできるようにしたい。こどもたちにはそれぞれが見ている世界があり、見えているものもあれば見えていないものもある。コーチや監督は、その見えていないものを、豊富な経験を踏まえながら、適切なタイミングで問いかけ、気づかせる。時には良いやり方のお手本を見せて、子供たちがなりたい選手像に向かって成長を促すのが監督として大事である」と。チームが成長してきた経験を踏まえ、私自身も同意できる言葉だと感じた次第である。


サッカーにおける子供たちが、コンサルタントにとってはお客様であり、コーチ・監督の役回りがコンサルタントにあたる。私自身も、様々な経験を踏まえて、お客様企業の進みたい方向に対して、適切なタイミングで問いかけや気づきを与え、お客様の成長を支援する存在でありつづけたい。息子たちにとっての監督のように。

マネージャー 前田 直毅

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