多事想論articles

DXの落とし穴

昨今、テレビCMや電車内広告など至る所で"DX"という文字を目にします。
皆さんの中にはDX推進担当の方もおられるのではないでしょうか。

企業がDXの具体的なアクションを設計できるように、DXは以下の3つの段階に分解されます。
①デジタイゼーション:アナログ・物理データのデジタルデータ化
②デジタライゼーション:業務・製造プロセスのデジタル化
③デジタルトランスフォーメーション:顧客起点の価値創出のための事業やビジネスモデルの変革
参考:経済産業省のDXレポート※https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-3.pdf

3つの段階に決まった実施順序はありませんが、①デジタイゼーションや②デジタライゼーションからはじめ、③デジタルトランスフォーメーションへと展開していく企業が多いように感じます。それらの企業でDX支援をしていると以下のような認識をされている方がおられます。
「私の会社では、デジタイゼーションやデジタライゼーションを従業員一丸となって進められているから、デジタルトランスフォーメーションも問題なくできるはずだ」という認識です。一見外れたことは言っていないと感じられるかもしれませんが、これがDXの落とし穴なのです。

デジタイゼーションやデジタライゼーションは社内の業務効率化が主な目的になるため、目的達成のためには既存の業務・製造プロセスの見える化や適切なデジタルツールの選定、従業員の巻き込み・定着化などを実施していかなければなりません。

一方、デジタルトランスフォーメーションは顧客起点の価値創出が主な目的になるので、目的達成のためには顧客ニーズの把握や社会および個人の制約・状況の予測などを実施する必要があります。

見ていただいたように、デジタイゼーションやデジタライゼーションとデジタルトランスフォーメーションでは目的達成のためのアプローチが大きく変わってきます。このことに気づかず誤ったアプローチでDXを進めていると落とし穴にはまり、目的の未達はもちろんのこと、無駄な投資や従業員のモチベーション低下に繋がってしまうでしょう。 落とし穴を回避するためには、データやデジタル技術を活用して自分たちは何を実現したいか、そのために何をすべきかを常に自問自答する必要があります。

シニアコンサルタント 村田 一貴

資料ダウンロードはこちら