多事想論articles

自動設計時代の設計者

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小説やゲームなどSF作品の中では、時折、高度に自動化された工場が出てきます。
人工知能が自動で製品や工程を設計し、自動で構成された工場から製品が出荷されてくる。
製品の改善も全自動。次々とニーズに合った新しい製品が出てくるような工場です。
昨今の生成AIの台頭によって、こんな未来がぐっと現実味を帯びてきています。

設計分野では、目標性能に対し、形状や回路パターンなど設計要素の最適化を自動でやることが構想されています。
設計済みモジュールの組み合わせ最適、という観点ではすでにコンフィギュレータなどが実現していますが、
生成AIによりさらに進み、設計データ生成とデジタル上の評価を自動で繰り返し、最適化していく仕組みが出来るでしょう。

これによりさらに設計リードタイム、工数の削減が見込めます。
ここ数年のAI進歩の目覚ましさを考えると、実現・普及も時間の問題のように思えます。
行き着く先、設計空間内での最適解の探索は、デジタルツールの機能の一つになります。

このようなトレンドに面した際、かならず議論になるのは「人間が本来すべきことはなにか?」です。
従来は、「定型的な業務は機械にまかせ、クリエイティブな業務を人間が行うべき」という論調が過半を占めていたように思います。
しかし今まさにイラストなどクリエイティブな仕事まで機械に奪われつつあります。
人間が本来やるべき仕事とは何なのでしょうか?

こと設計分野においては「設計者が本来やるべき仕事」を改めて定義する必要がでてきます。
様々な議論があり社会的な共通認識はない状態ですが、おそらく大事になるのは、「設計空間を広げる仕事」と私は考えています。
顧客価値、社会価値の探索による要求の拡大、要素技術の探索・深耕による実現手段の拡大など、
価値提供、競争力強化のために設計者が成すべき役割はまだまだあるはずです。

このような議論は不確定要素も多く、様々な視点から考える必要があります。
もし社内のディスカッションに不足感あるようでしたら、我々の最新の取り組みや、将来予測をもとに、
共にあるべき姿を考えてみませんか。

マネージャー 鈴江 久尚

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