多事想論articles

時間の有効活用

普段の生活で、このような経験はありませんか?

・飲み会を減らしたいと思っているが、なかなか減らない
・TVを見ている時間を減らしたいが、なかなか減らない
・ネットサーフィンの時間を減らしたいが、なかなか減らせない 

これらはどれも、普段の生活の中で無駄だと思っている時間を減らしたいと思うが、なかなか減らないという現象です。すべてに共通しているのは、短期的に減らしたいことは定義されているが、減らしたい時間を活用して長期的に何をしたいのかが定義されていないという点です。

 今回お話ししたいことは、短期的に減らしたいと思っている内容だけでなく、長期的に何がしたいのかまで含めて時間の使い方を考えることが、本当の時間の有効活用ではないかということです。

▼製品開発における時間の有効活用とは?

 以下のようなケースは、短期的に減らしたいことは定義されているが、長期的にやりたいことが定義されていない事例と言えるでしょう。

 (1) 設計業務を効率化し期間を短縮できたが、設計経験が減ってしまいスキルの低下を招いている
 部品の流用率を向上したり、CADの普及によるコピー設計(過去機種の似たような部品をコピーして新機種用に設計すること)の率を上げたりしたことで、開発期間は短縮できたが、部品を設計する機会が減り、若手エンジニアの育成ができていないという事例を良く聞きます。
 このままエンジニアの育成に手を打たなかった場合は、長期的な競争力向上という観点に立つと、時間を有効活用しているとは言えないかもしれません。

 (2) 開発が効率化できたが、競争力のある製品を生み出せていない
 企業として収益性を上げるには、コストを下げるだけでなく、売上を上げる必要があります。開発を効率化することで、コストや時間の削減はできますが、それを新たな製品開発へ投資していなければ競争力のある製品を生み出せることはなく、売上を上げることもできないでしょう。
 つまり、効率化だけが目的になって、競争力のある製品を生み出すという観点が抜けていると、長期的な収益性向上もできず、時間を有効活用できているとは言えません。

▼時間を有効活用するには?

 では、どうしたら時間の有効活用ができるのでしょうか?私が実践しているのは、減らしたい時間ではなく、増やしたい時間を決めるという方法です。なぜならば、そちらの方が目標意識を長く持ち続けられるし、創意工夫が生まれやすいからです。増やしたい時間というのは、たいていの場合、その人(または組織)がやりたいことであり、その時間を増やすと考えたほうが、思考がポジティブになりモチベーションも上がりやすいのです。
 実は、最初に挙げた3つのケースは、私の以前の状況そのものだったのですが、自己研鑽のために本を読む時間や勉強時間を増やしたいと思ったときに減らすことのできた時間でした。それまでは、減らしたいとだけ漠然に感じていたのですが、なかなかうまく行かず、逆に増やしたい時間を決めた後の方がうまく減らすことができました。
(1) のケースの場合、「若手の育成の時間を増やす」という目標を持っていたら、設計流用率を上げてベテランエンジニアの時間を確保し、空いた時間で若手に教育する。設計が必要な部品は極力、若手に設計をさせて育成を兼ねるという手も考えられるかもしれません。
(2) のケースでは、効率化を目標にするよりも、短縮した期間で新しい製品を開発し「投入製品数を上げること」や「創造的な業務時間を増やすこと」を目標にしたほうが効果は継続しやすいと思います。

 人が1日に与えられている時間は24時間です。エンジニアが働くために与えられている時間は、8時間~10時間と言ったところでしょうか。与えられた時間は、皆平等です。その中で、如何に有効な時間を増やすかが競争力の鍵になり、製品開発力の向上に繋がると思います。

 

執筆:那須 隆志
※コラムは執筆者の個人的見解であり、iTiDコンサルティングの公式見解を示すものではありません。

資料ダウンロードはこちら