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プロジェクトマネージャの役割と権限 -はじめに-

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 現代の製品開発では、複数の技術者が集まってチームを作り、プロジェクトとして活動を進めることが多い。 プロジェクトの成果はメンバー個々人の能力もさることながら、そのプロジェクトを束ねる人、すなわちプロジェクトマネージャ(PM)の力量にも大きく左右される。 これを避けるために、プロジェクト管理の技術は手法として体系化されてきた。たとえば、本連載の第3回 『プロジェクトの活動計画』で紹介したPMBOK(Project Management Body Of Knowledge)はその一例である。
 さて、製品開発の現場を見ると、ほとんどの企業でPMを担っているのはエンジニアである。しかし、エンジニアにとって技術を究めることは得意であっても、プロジェクト管理はどちらかというと不得手なことが多いようだ。 入社以来教わるのはもっぱら技術に関する知識であり、プロジェクト管理のスキルが計画的に育成されるということは少ない。それでいながら、ある程度の経験を積むと、エンジニアが突然PMを任せられる。
 一方、今日では製品機能の高度化、複雑化により開発に関わるメンバーも増え、PMの重要性はますます高まっている。より多くの部門との連絡や調整が必要になり、時には非常手段に訴えなければならないかもしれない。 それにも関わらず、技術部門では往々にしてマネジメント業務での貢献が正当に評価されず、PMは労多くして功の少ない役割であると敬遠される。新たなPMのなり手が育たず、人数の少ないPMに業務が集中し、その結果PMは疲弊してモチベーションが下がり、組織全体には閉塞感が漂う・・・
 というのは極端な例だとしても、これに似た状況に陥っている職場は少なくないのではないか。では、このようにならないためには、どうすれば良いのだろう。PMBOKのようなプロジェクト管理の知識を身に付けるだけで解決するのだろうか?
 iTiDは第2回開発力調査のデータを分析した結果、製品開発プロジェクトの成功/失敗に大きく影響を与えるプロセスの1つとして『プロジェクトマネージャの役割と権限』を導き出した。 今回、『プロジェクトマネージャの役割と権限』の評点の高かった企業2社にインタビューを実施し、プロジェクトをうまく回すためのヒントを得ることができた。その結果を以下の視点で整理して紹介する。なお、今回は役割と権限のうち役割を中心に話を伺った。

1 PMの制度
 1.1 誰をPMにするか?
 1.2 どのように育成するか?
2 PMの役割
 2.1 開発計画立案
 2.2 プロジェクト運営

 また、協力いただいた企業2社は、本文中でA社、B社と表記している。各社が開発している製品は、A社がカーナビ・カーオーディオ、B社は事務機器である。

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