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評価(テスト)の最適化 -はじめに-

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 日常生活の多様化に伴い、開発される製品への要望や期待は近年ますます高まっている。その結果、製品の機能は高付加価値を実現するために複雑化し、そのライフサイクルは短期化の一途を辿っている。このような状況下で企業は、魅力ある製品を企画し設計から製品リリースまでの期間を極力短縮しながら、いかに時間内に製品を評価して市場へ送り出すかということが課題となる。しかし、この評価と言う側面では最近のニュースでも製品の機能不全による事故や、人体もしくは環境に悪影響を及ぼす物質の混入、また事故にはならないが製品の回収やリコールなどさまざまなトラブルが報じられており、無理が生じていることが容易にわかる。

 ITIDは第2回開発力調査のデータを分析した結果、製品開発プロジェクトの成功/失敗に大きく影響を与えるプロセスの1つとして『評価(テスト)の最適化』を導き出した。製品の評価を上手く実施できたプロジェクトが製品品質を確保し、成功を収めるという一見いかにも当然な結果ではあるが、前述のようなジレンマともいえる状況を克服できる開発プロセスを持つ企業の現場はどのような状態なのか?今回、そういったプロジェクトのメンバーや関係者に直接インタビューできる貴重な機会が得られ、データからだけでは読み取れない開発の背景や実施状況にまで踏み込んで調査した。

 ここでは、『評価(テスト)の最適化』をテーマに"製品を評価する"ことについて、
(1)製品の評価内容の抽出法
(2)評価計画の作り方
(3)設計検証と製品評価の考え方
の3つの視点を中心に取り上げる。(1)、(2)は製品評価を行うには当然欠かせない活動であり、また(3)ではその業務の区分けや担当割りについても触れたい。 まずは3つの項目ごとに内容を整理し、次に企業の具体事例を通じてその成功要因を読み解いていくことにする。

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