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デザインレビュー(設計審査会) -まとめ-

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 A社とB社のデザインレビューの具体的な運用事例を見ながら、デザインレビューを有効に活用する方法を探ってきた。そして浮かび上がったポイントは以下の六つであった。 これらのポイントは両社だけに当てはまるものではなく、広く一般的な製造業の企業にも当てはまるのではないだろうか。

1.役割分担

デザインレビューの報告者と主催者を組織的に分けることで運用規程の遵守率が高まり、同時に設計者の負担軽減にもなる

2.階層化

図面チェックなど詳細内容の確認は下位の階層でのデザインレビューで実施し、上位の階層ではより全体的なデザインレビューを実施することでプロセス全体が効率化される

3.属人性の排除

チェックリストや運用ルールの標準化により、デザインレビューでの抜け漏れが防止される

4.専門家

登録制の専門家がレビュアーとして参加し、適切な判断をすることで後工程に問題を流出させない

5.レビュアーの責任

デザインレビューの際に問題を指摘したレビュアーが最後まで責任を持つことで、本当に重要な問題が確実に解決される

6.厳格性

定量的な移行基準を持ち、基準をクリアしていなければ再度デザインレビューを開催しなければならないなど厳格に運用することで、デザインレビューシステムの持つ本来の機能が有効に働く

 デザインレビューの仕組みに限らず、業務の手順やルールといったプロセスは一度構築すれば十分というものではなく、状況変化に応じて絶えず改善していかなければならない。 変化に対応しないプロセスが形骸化していくのである。 具体的な取り組み内容は企業の製品特長や開発環境に応じて変化するべきだが、デザインレビューの仕組みや運用に問題があると考えている企業は、成功事例から学んだ六つのポイントを参考にして仕組みを再構築するのもよいだろう。

参考文献

・デザインレビュー(DR)ムダとりマニアル
 関根憲一 著(新技術開発センター)

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